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〜数時間後〜
『ッはぁ〜…いいねぇ星の下で飲む酒は美味い』
「そうじゃろそうじゃろ、ここの眺めは美しいからのう」
『ほんと、綺麗だねぇ』
アレから私たちは酒の大瓶を五本ほど開けたが
まだお互いにピンピンしている
元からアルコールには強い体をしているのは知っていたが
まさかここまでとは…
『いやぁ…こんなに飲んだの初めてだよ、普段は三人が…』
あぁ…そうだ
普段なら三人が先につぶれて
私は一人で飲む酒がつまらなくて結局飲むのをやめて寝ていたから
こんなに長い時間飲むのは初めてだ
『ふぅ…美味いねぇ』
コップに入っていた酒をグイッと飲み干し一息つく
酒のせいか体がポカポカして
とても心地が良い
心做しか気分も良い気がする
「で、そろそろ話したらどうじゃ?」
『ん〜?何を〜?』
「とぼけるでないわ、どうせ何かあったのじゃろ、じゃなかったらお前が奴らから離れることなどないじゃろうに」
『んー…そーねぇ』
「変に抱えるよりは、話してスッキリした方が良い、話してみよ」
『…喧嘩をねぇ…うん…しちゃったんだよね』
「ほう?これまた珍しい事もあるもんじゃのう」
『だよねぇ…でも今思えば…私が悪いのかねぇ…?』
私はあの時謝らなかった事を後悔はしていない
でも、少し反省はしてる
もっと良い言い方があったかもしれない
喧嘩にならない方法があったかもしれないのに
今更こんなこと考えても意味無いけどね
「詳しくは知らんが、今のお前はどこかいつもより笑顔が暗い」
『えー?そうかなぁ?』
「あぁ、私は暗いお前よりもいつもの明るいお前が好きじゃ、奴らと楽しそうに笑っておるお前が何よりもな」
「じゃから私の為にも早う仲直りするのじゃぞ〜」
そう言うと、清乃神は追加の酒を取りに奥へと入っていった
シンと静まり返るその場で私はまた空を見上げる
満天の星空のどこかに答えがあるのではと考えながら
『仲直り…ねぇ』
チリン…?
『うん…分からない…どうしたらいいのかなぁ…』
『まだ怒ってるかな…呆れてるかなぁ…』
段々と自分の声が震えているのが分かる
視界も涙で歪んできて、ポタポタと階段が鳴る
チッリリ!カチカチ!!
鉄扇の声が忙しなく鳴り続ける
きっと泣いている私を心配しているのだろう
ごめんねこんな弱い持ち主で…
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名無し - はじめまして、コメント失礼します。設定タグをご本人様の名前含め、検索除けタグのみに変更お願いします。デリケートな界隈なので対応のほどよろしくお願いします。変更終わりましたらコメントの方は消していただいて構いません。長文失礼しました。 (2022年5月13日 4時) (レス) id: 2518b8b23d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しの弁慶 | 作成日時:2022年4月3日 23時