21 ページ21
ＹＯＵ
頬に触れた目黒の体温は次第に自分の顔全体を熱くした。
顔が離れていく時に見えた瞳の奥に、
驚きと焦燥と一抹の切なさが入り混じって見えたのは私の思い込みすぎなのか
自分でしたくせに黙りこくってしまう目黒のせいで再び流れる沈黙。
いつだって本気か冗談か分からなかった態度
今顔を見てしまえば聞いてはいけない目黒の心底にある気持ちに触れてしまいそうで怖かった。
俯いた先には色気ないコンクリート。
さっきまで見ていた煌めきは視界の端に追いやられていた。
「順番、間違えた」
暫くしていつもより威勢のない声が聞こえた。
その言葉の意味を頭で理解するより先に、
今度は意志のこもったような声が降ってくる。
「Aが好き」
心臓がドクンと波打って目の前が揺れた気がした。
「先に、告おうと思ってたんだけど」
「＿我慢できなかった」
自笑気味な声色に目黒自身も困惑しているんだと感じた。
ゆっくりと顔を上げるとそこには切なそうに眉を下げ複雑そうに微笑む目黒。
それでもあのキスを無かったことにしようとしない態度に少しだけ心が揺れる。
その心の揺れに追い討ちをかけるように甘い本音が耳に届く。
「Aがまだ前の恋愛を忘れられてないのも分かってる」
「それでも俺はAが好き」
�爐海賈楜い世�ら��
そう付け足せば白い息が寒空に消えていく。
「少しでもチャンスあるなら
俺のこと友達じゃなくて、男として見てよ」
「それまで待ってるから」
私の状況を気遣って告白の返事は急かさない
繋いだままの手は緊張しているのか熱く力が入っていること、きっと目黒は気付いていないんだろう。
言葉、仕草、視線。
その全てが目黒の気持ちが本気なんだってことを伝える。
二人の間に白い光が落ちてくる。
「＿雪だ」
ゆっくりと不規則に落ちてくる雪。
「雪降るとあの日思い出す」
もう一度目黒に視線を戻すと、いつもと変わらない微笑みの彼。
「雪女なのかな、私」
「そうかもな」
ふっと笑った目黒
「ありがとう、考えてみる」
私の言葉に目黒が頷いて雪は落ちる。
絡めた指先をもう一度握りしめたのは、多分二人同じタイミングだったと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1655人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななせ.。(プロフ) - 廉桜さん» キュン入れ込むのに力を入れたのでそう思っていただけていたら本望です（消えないでください笑）また次作書いた時、お会いできるのお待ちしています^ ^ (2021年12月28日 8時) (
レス) @page37 id: 2e0fad42fe (このIDを非表示/違反報告)
廉桜(プロフ) - ななせ.。さん» はじめまして。完結お疲れ様でした。前々から溜めてて一気読みさせてもらいましたが、キュンの供給過多で溶けて消えるかと思いました。素敵なお話をありがとうございました！もし続編がありましたら、楽しみにしてます！ (2021年12月28日 3時) (レス) @page38 id: 1a19d45977 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ.。(プロフ) - まいやんさん» 読了ありがとうございました！続編は今の所考えてないですが、またアナザーストーリーや新作があれば気長に待っていただけると嬉しいです^ ^ (2021年12月26日 17時) (レス) id: 2e0fad42fe (このIDを非表示/違反報告)
まいやん(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に楽しく毎回読ませていただきました。もしお時間ある時に結婚するまでのエピソードを続編で読みたいです( ; _ ; ) (2021年12月26日 8時) (レス) @page38 id: 9a00c406d6 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ.。(プロフ) - 丁寧にありがとうございます（ ; ; ）自信がなかったのですが楽しんでいただけていたら幸いです、最後までありがとうございました^ - ^ (2021年12月25日 20時) (レス) @page37 id: 2e0fad42fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななせ.。
| 作成日時：2021年12月8日 8時
