マンキー (ページ50)

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改めて考えると別れたフリってなんだ？と思いつつ教室に向かう

信じてってなんか大袈裟だな、とか何処か冷静になってしまっている

教室内に女子しかいないと思ったら男子は全員外で後夜祭用の櫓(やぐら)を設営してるらしい

夏「Aおはよ～、あれ手どうしたの？」

『おはよう、あぁこれ紙で切れたんだよね』

夏「えぇ、そりゃまた随分盛大に」

夏子には心配かけさせたくなかったから今回の件は知らなそうで良かった

"危なっかしいから気をつけてよ"とお母さんのような台詞を言われながらダンボールを細かく千切る作業をする

『ねぇ昨日どうだったの？高地先輩と』

夏「え、なんで知ってるの？！」

あ、これは私が知ってることを知らないんだった

『風の噂で…？』

"どうせユキでしょ"って半分呆れて笑われた

夏「花火、誘われちゃった」

『え、良かったじゃん！の割に乗り気じゃない感じ？」

夏「嬉しいけど、私まだ先輩のこと全然知らないしなぁって…Aは勿論松村くんと行くんでしょ？」

『え？あぁうん…あ、でも高地先輩は絶対夏子のことタイプだって言ってたよ、』

"北斗が"

そう言いかけた時、たまたま目線の先にいた女の子と目が合った

瞬時に顔が強張ったのが自分でも分かる

夏「A？」

『あのさ夏子、何が起きてもとりあえず何も言わないで見てて？』

夏「は？」

向かって来た脚が私の目の前で止まって、上から声をかけられる

川「瀬川さん、昨日大丈夫だった？」

"わ～痛そう…"って言いながら手を両手で持って親指で傷口を押される

『っ、、、』

夏「ちょっ、」

そのタイミング廊下が騒がしくなって男子が教室に戻って来た

握っていた手をパッと離して

川「あっそういえば！」

さっきより一回り大きな声を発する彼女

"北斗くんと別れたんだよね？"

相変わらず騒がしい中でもちらほらと視線が刺さる

『そうだけど』

川「だよね？いや、さっきちらっと聞こえちゃったから勘違いしてたら申し訳ないなと思って…

北斗くん、花火には来ないよ？」