マンキー (ページ24)

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ノリというのか勢いというのか

ちゃっかり松村くんのお家にお邪魔してしまった

"そこら辺座ってて"と言われ、その通り座って部屋を出て行った彼を待つ

北「ごめん、お茶しかなくて」

そう言って両手にコップを持って入ってきて器用に足で部屋のドアを閉める

『あ、全然！お構いなく』

北「これかこれか…これはね、昨日見たけどちょっとグロテスクな感じだったかな」

『折角だからこれがいいんじゃない？』

と、自ら彼の見てなかった洋画をチョイスしたものの

中盤あたりから聞き慣れない言葉と字幕を追う目で睡魔を加速させる一方だ

やばい…寝る……

そう思った刹那

北「A、」

『ん？松村く、…っ』

彼の方を向いた瞬間、唇を奪われる

『へ…？』

北「こうやって、男に呼ばれたらのこのこと家に行くんだ？」

"違う"と言おうとしたのに声が上手く出なくて苦しい

そのまま彼が迫ってきて後ろに倒れそうになる

落ちる！という感覚と共にぎゅっと目を瞑る

"あぶねっ"と言う声で目を覚ます

起きる瞬間自分の体がビクッと震えた

今のは夢…か

寝落ちして倒れそうになった私を彼が支えてくれていた

北「大丈夫？」

『ぁ…ごめん私…』

横目に見えるテレビの画面はもうエンドロール

起き上がろうと動かしたハイソックスはフローリングに滑ってそのまま2人揃ってバランスを崩した

『きゃっ』

自然に覆い被さる形になってしまって至近距離になる

目線が交わってそのまま彼の顔が更に迫ってくる

なにこれデジャブ？いや正夢？？

北「ん、」

気付いたら片手で彼の口元を抑えていた

『あ、いや、ごめん！最近寝不足だったのかも！そろそろ帰るね？結末明日教えて！』

無理矢理すぎる誤魔化し方と作り笑い

やっぱり軽い女だと思われてるんだ

自分の誤ちでつけてしまったレッテルなのに

もしかしたらこういう展開になることすら予想して来たつもりなのに

いざ自分の立場を理解しようとすると悲しすぎた

鞄を持ってドアノブに手を掛けた時、反対の腕を掴まれた

北「…送って行く」