マンキー (ページ13)

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数日後、授業の間の休み時間にユキちゃんが教室に来た

教科書とか借りに来ることはたまにある

樹か松村くんにね

でも今回は通り過ぎるはずの足が自分の席の前で止まった

ユ「Aちゃん」

『…なんでしょうか…？』

ユ「昼休みちょっといい？」

『あ、うん』

屋上に続く階段の踊り場へ行く

『あの、要件って…』

ユ「ごめんなさい！」

『え、』

ユ「私、樹のこと利用してAちゃんのこと傷つけたよね」

『あぁ、私は別に…』

特に大きな被害は被ってないし、というか樹の気持ちを考えれば私なんて擦り傷すら負ってない

けど、

ユ「北斗のことずっと好きだったんだ、北斗から恋愛対象として見られてないのも分かってた」

何も知らなかったんだ、私は

ユ「告白する勇気もなくて、友達でいいから近くにいたいって思ってたのに…他の女の子と仲良くしてるのが無性に辛くて苦しくて許せなかった……」

彼女の綺麗な白い肌に雫が流れるのが見えた

ユ「我儘すぎるよね、こんなことしても自分のこと好きになってもらえる訳でも付き合えるわけでも何でもないのに」

『そんなことない、ユキちゃんは悪くないよ』

きっと私が彼女の立場になったら同じ感情になっていたと思う、それが許すには充分な理由だ

『それに私、松村くんとは何もないから…』

私は何かをやらかした後、何もない状態に至る訳で

でもそう言うとユキちゃんはきょとんとした

『えっと、私が松村くんのこと好きだって気付いたから、なんていうかこういう状況になったんだよね？』

ユ「あ～、うんまぁね」

"そっかそっか"と何か納得したユキちゃんは笑った

ユ「私もう北斗のこと諦める！なんか一瞬で吹っ切れちゃった笑」

『ええ？笑』

反応に困ってとりあえず愛想笑いで返す

ユ「絶対上手くいくから！私、Aちゃんに協力する！」