ネコみたいな〜瀬口黎弥〜 (ページ7)

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7.借金ページ7

Aside

黎「な、なに…！何しにきたんですか…」

私と分かった瞬間に目付きが変わった

瀬口さんが持っていたスマホからチラッと見えたのは

「それ…私、」

今日の振り付けを私が1人で踊っている動画

…でも撮らしてくださいって言ってた堀さん目線じゃない

黎「は！？」

バッとスマホを隠した

「…ここの振りはこうしたら踊りやすいと思います」

そう言えばまた、怪訝そうに私を見つめた

………なんか余計なお世話だったかも

「…じゃ、じゃあこれで帰ります。あ、あと今日は本当にすみませんでした」

くるっと方向転換をして、そそくさと公園を出て自宅までを少し走って帰る

なんか私恥ずかしい…今日の私は何もかもらしくない

頬を抑えながら、マンションにつくと

エントランスでウロウロしてる怪しい影

部屋に鍵忘れたのかな

マンションはオートロックで、たまに部屋に入れなくなった人を助けたりする

だけど、恐る恐る近づくとマンションの前でうろうろしてたのは

私が1番会いたくなかった実の父親だとわかった

父「Aか？…やっぱりそうだ！！お父さんだぞ！覚えてるか！？」

私の肩を両手で掴んだ

その瞬間、鳥肌と震えが止まらなくなった

「やめてよ！！お前なんか父親なんて思ったことないよ！触らないで！」

父「…そんなこと言うなよ…どれだけの時間使ってAのこと調べたと思ってるんだ」

調べた？心底気持ち悪い。

父「…まあいいや。父さんな、借金しちまって…返せなくて、だからAに助けて欲しいんだ、、」

「無理に決まってるでしょ！」

父「…それがもうAの住所で印鑑押しちゃったから…多分請求来ると思うわ…」

感情が追いつかなかった。何も言葉に出せなかった。

父「2000万くらい、Aなら余裕だよな？後はよろしく頼んだよ…」

そう言って走り去って行った

「…に、千万…」

そんな大金あるわけがない。

昔から、あの男に母と私は苦しめられていた。

母は7年前に病気で他界。

母が闘病中の時も、あの男はギャンブル三昧で
ろくにお見舞いにも来たことはなかった。

そして亡くなった時の保険金も全部取られ、ギャンブルで消えた。

母が亡くなった時、私は20歳を過ぎていたからなんとかバイトでやり繰りをして、父に見つからないように必死だった。