ネコみたいな〜瀬口黎弥〜 (ページ27)

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27.ほっといてページ27

Aside

黎「借金って何のこと？」

まずい、聞こえちゃった…

黎「そういうこと？…だから水商売…？」

「そうだよ。…もういい？どいて」

私が水商売を始めた理由を知ってボーッとしだした瀬口さんを押し退けて寝室を出る

逃げるように小走りでマンションの外まで出ると、いつの間にか追いかけて来た黎弥さんに腕をつかまれた

「ちょ、離して！」

黎「まだ話終わってない」

「ここ外だよ、やめて」

腕を振りほどいて自分のマンションがある方に向き直すと、またアイツが現れた。

父「お！A！」

「……何しに来たの」

父「ちょっと、急ぎの用事があってさ…お金貸してくれない？」

ありえない……この状況で？

借金まで肩代わりした上に、更に貸してあげる？

「……ふざけないで…そんなお金ないよ！！」

父「父親に向かってなんて口の聞き方だ！」

ﾊﾟｼﾝｯｯｯ

その時、乾いた音が鳴り響いた

父が私の頬を叩いたのだ

黎「え、ちょっと！それは…」

なに…瀬口さんまだ居たの、
最悪だ。こんな姿見られて惨めすぎる

黎「お父さん、一旦落ち着きましょう」

父「…また来る」

そう言って、どこかへ消え去った父

その後ろ姿を私は、睨みつけることしかできなかった

黎「ほっぺた大丈夫！？」

そんな中、瀬口さんは私よりもすごく焦っている

もういいよ。何もかも

「……父親が闇金に手出しちゃったの。肩代わりしてんの。だから、水商売してんの。これでいい？…もうほっといて…」

言葉の間に息もせず、早口で全てを簡潔に話した。

もうこれ以上私に関わってほしくなかった

ようやくわかってくれたのか、それ以上瀬口さんは何も口にすることは無かった。

「じゃあ…」

そう言って瀬口さんから離れて自宅に入る。

最後の瀬口さんの顔、哀れんでたでしょ…

同情なんてやめてよね。

はぁ…性格悪いな私

余裕がないせいで、どんどん自分が落ちていく

鏡の前に立って、頬を抑える

痛いなぁ…

お父さんにぶたれたのは初めてだった。

だけど今は頬より胸の方が痛い

こんなことで傷ついてんだ…私

弱くなったな、本当

鏡越しで変わっていく自分を見つめては涙が溢れた。