11.だれ ページ11
黎弥side
スマホに電源をつけ、カメラロールを開き
ほっしーさんが1人で踊っている動画を見る。
夏喜が撮らせて下さい とお願いした時に、こっそり俺が撮った動画だ。
やっぱすげえな…男にも負けないくらいの迫力
帽子とマスクの間からチラッと見える目は少しだけ楽しそうに見えた。
俺が何度も間違える振りのところを何度も巻き戻した。
そして、何度実践しても失敗する。
その度に、動画を止めてゆっくりと手動再生して、ほっしーさんの動きに集中していた。
その時だった
「…あの！」
黎「うっ、わぁぁぁ！！！」
「わあ！！」
なぜか、画面で見ていた人が目の前に居るのだ。
めっちゃ集中してたから、くっそビビった…
つーかなんで、ほっしーさんまでビックリしてんだよ、、
黎「な、なに…！何しにきたんですか…」
いきなりの事だったから、無意識に身構えてしまう。
なんで…ここに居るんだよ、
「それ…私、」
と呟いたほっしーさんの目線の先には、俺のスマホの中でほっしーさんが踊っている動画が流れている
黎「は！？」
恥ずかしくなって、すぐにスマホを隠した
「…ここの振りはこうしたら踊りやすいと思います」
え？なんであんなに態度の悪かった俺に教えてくれてんの、
「…じゃ、じゃあこれで帰ります。あ、あと今日は本当にすみませんでした」
そそくさと帰っていく彼女に話しかけることは出来ず、いつまでも気にしてた俺が更に惨めに感じた。
とりあえずさっき教えてくれた踊り方を真似してみると、あんなに苦戦してたところが、すぐに踊れるようになった。
なんなんだよ…あの人
悔しいと同時に、できた喜びで頭がいっぱいになった。
もう一度だけ、最初から通しで緩く練習した。
まだ覚えきれていないところは明日やろう
ほっしーさん本当に何者なんだよ…教え方といい振り付けといい天才すぎんだろ…
やっと素直にほっしーさんを認めた瞬間だった。
最初からすげえと思ってた。だけど、何だか悔しくて何故かイライラして自分でも意味わかんねえくらい実力に嫉妬してたんだ。
次の日になり、俺にしては珍しく早起きして
予定の1時間も前にリハ室に入れば、すでに踊っている人が目に入る。
だれ？女の人だ、
まじかよ、今日ファンタが使う予定だろ？
朝ということもあって、低血圧な俺はそんな些細なことで少しイラッとした
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作者名：まここここ | 作成日時：2023年5月27日 23時
