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さんじゅーごーう ページ36

拭えぬ後悔と罪の意識ーか…。




太宰は玲の背中を撫でながら独りごちた

あの日から、確かに玲は変わった。




其れはポートマフィアにとって、願ってもみなかった新生遊撃部隊隊長。

実力は言わずもがな、その愛嬌のある笑顔と、不思議と人を寄せ付ける性格、全て相まって部下からの信頼も高い。





ポートマフィアにとっては、吉と出たあの日の出来事。情報処理班の代わりなど幾らでも居る。

彼に優れた異能力が携わった事が何よりもの功績。


それでも…





「…どうしてか君の涙は見たくない。」





きっと彼に此声は届いていないだろう。今は唯只管、目の前の石の中に眠る1人の男を想って涙を流している。


歯痒さとジレンマが太宰の胸を焦がす。



之から先の時間を共にする人間よりも、過去の人間を見つめているその目も、その心も。







「…皮肉な話だ…変えられない過去に色濃く残った貴方を、私は憎む事すら出来やしない…」




太宰は、空いた右手を玲と同じ様に墓石に付け、目を閉じる。






ーーーあの日、身を呈して彼を、玲を…護ってくれて有難う。






最年少幹部が死人を労り、礼を述べるなど部下が聞いたら驚くだろう。



自分でも笑ってしまいそうだ。



今まで散々人を殺し、欺き、取れない程に血に染め上がったこのナリで、どの口が言うのだろうか。






「……ふぅ…」

「少しは落ち着いたみたいだね」




目を晴らし、瞼を赤く染め上げ、頬にはまだ涙の跡を残した玲が、漸く1つ息を吐いた。




「僕ね、太宰さん」

「どうしたんだい」

「輪廻転生って言葉を信じてるんです」





ー輪廻転生


あの世に還った魂が、この世に何度も生まれ変わる事。





「だからね、何時か…何時か班長の魂が生まれ変わって、もう一度この世界に存在した時はー」




俯いていた顔をグッと上げ、藍色の瞳が太宰を捉える。




「地球の裏側でも、何処にだって行って、探し出して、次は、必ず護るって決めたんです。」



太宰は少しだけ目を丸くし、その後クシャりと頭を撫で、玲の顔を再び下に向けさせる。





「それが例え、10年後でも、20年後でも…僕が生きている限り。」






過去は変えられない。

今生きている人間に出来るのは、之から先の未来のみ。





だったとしても、貴方は、彼の未来までも独占するんですね。




太宰は、玲から見えない様に墓石に目を向け、やるせない想いを作り笑いに変えた

さんじゅろーく→←さんじゅよーん



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晋陽 - とても面白いです!!更新待ってます! (2018年4月1日 21時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス - おもしろかったです!夢主君がかわいすぎ (2018年3月25日 0時) (レス) id: ea23810468 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 山田琉愛さん» 山田さん!白烏に引き続き御愛読有難うございます!いつもコメントして頂き、その分頑張ろうと思えています!これからも宜しくお願いします!(^ω^) (2018年3月4日 5時) (レス) id: 5e1c605be1 (このIDを非表示/違反報告)
山田琉愛(プロフ) - 新作おめでとうございます!この時点でもう面白いからこれからどうなっていくのかとっても楽しみです!無理しない程度に頑張ってください!応援してます! (2018年3月2日 1時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年3月1日 1時

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