じゅ ページ11
「異能力…異世界……」
「随分と規模が大きい事になってきたね」
「いやーほんとマジで」
異世界って普通死んでから来るもんじゃないの?え?違う?とブツブツ独りごちる玲に太宰は先程の首領の言葉を思い出す
「事務処理…スか…」
「嗚呼。勿論初めは簡単な物からだ。それに住む所が無ければ空いている部屋に泊まればいい。少し経てばお給料だってちゃんと出すよ。どうだい?」
「は、はぁ…じゃあお願いします?」
「良い返事だ。今日は太宰君」
「はい」
「君の部屋へ案内してくれないかな?」
「分かりました」
自分の部屋に上げるのは別に良いとして、首領は私が思ってた以上にき、この少年に興味を抱いたらしい。
至れり尽くせり。とは正にこの事だろう。
首領の好きな12歳以下の幼女でも無い。
「にしても腹減りましたねー」
「君さっきアイス食べてなかったかい?」
「あんなん腹の足しにもなりませんよー」
あー腹減ったー。と危機感の無い声が廊下にこだまする。ポートマフィア内でこんな間抜けな声が響いた日は、後にも先にも今日だけだろう。
ガチャッ
「さあ、入り給え」
「おじゃしゃース……って、う、わぁ…」
開けた先には、溜まりに溜まった書類やら、ゲーム機やら、衣服やら包帯やら…
ぶっちゃけ汚い。
「足の踏み場があるだけまだマシだよ」
「マジすか」
引いた顔をしつつ、チョンチョンとつま先で比較的片付いているソファへと腰を下ろす玲
差し出したインスタントコーヒーを、恐る恐る口につけた後、短くだがハァ…と溜息を漏らした。
「ふふ。矢張り君とて首領の前では多少なりとも緊張したかい?」
「へ?あー、いや。まぁ知らない間にしてたカモっスけど、今はそれより此れから先の事が不安っつーか、んんんん……」
グッと狭まった眉間に、藍を含んだ黒目がゆらゆらと揺れる。
まだ16の少年が、突然異世界に迷い込み、更にそこは平和とは掛け離れたマフィアが存在している街
不安にならない方が可笑しい。
太宰は漸く年相応の表情と言葉を漏らした少年に、薄く笑を漏らした。
「なぁに。心配は要らない。私が居るからね」
「まぁ、そー、っスけど…」
「兎に角今日は疲れたろう。少し横に成ると良い」
気が解れたのか、先程まで感じなかった眠気が一気に押し寄せて来た。
太宰が何か云っているのが聞こえるが、言葉を咀嚼するより早く、玲は深い眠りについた。
182人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晋陽 - とても面白いです!!更新待ってます! (2018年4月1日 21時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス - おもしろかったです!夢主君がかわいすぎ (2018年3月25日 0時) (レス) id: ea23810468 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 山田琉愛さん» 山田さん!白烏に引き続き御愛読有難うございます!いつもコメントして頂き、その分頑張ろうと思えています!これからも宜しくお願いします!(^ω^) (2018年3月4日 5時) (レス) id: 5e1c605be1 (このIDを非表示/違反報告)
山田琉愛(プロフ) - 新作おめでとうございます!この時点でもう面白いからこれからどうなっていくのかとっても楽しみです!無理しない程度に頑張ってください!応援してます! (2018年3月2日 1時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玲 | 作成日時:2018年3月1日 1時