４ 化物はすぐ近くに… ページ4
声の主は一本の大きな木の枝に座っていた。
A「貴方は昨日の…」
立ち上がると枝から飛び降り、こちらに近付いて来た。昨日ははっきりとした姿を見る事は出来なかったが、月明かりに照らされていたお陰で、和風の衣装、赤色の隈取り、蜘蛛の足のような髪型をしていた事が分かった。
？「覚えておったか」
A「当たり前でしょ、散々好き勝手な事を言ってたんだから」
？「…フッ、気の強いところも悪くないな」
傷付くような事を言ったはずなのに、何故か嬉しそうな表情をしていた。
？「そう言えば自己紹介がまだだったな、我が名は土蜘蛛、女よ名は何と言う？」
A「…Aよ」
土「Aか、実に立派な名だ」
A「あ、ありがとう////」
他人から名前を褒めてもらった事が無かったので、とても嬉しかった。
土「…して、何故お祈りをしていたのだ？」
A「…お父様の無事を祈ってたのよ」
握り締めていたお札を見た。
土「父親の無事をか？」
A「ええ…隣町に巨大な化物が現れたとの事で、退治をする為に朝早く屋敷を出たの」
土「ほぉ…」
A「だから、神様にお祈りを捧げていたの、お父様をお守り下さい…ってね」
土「…」
お父様を思う度に目頭が熱くなってきた。でも、自身のプライドも有り情けないところを見せたくないと思い、泣く事をひたすら我慢していた。
ギュッ
A「っ…！」
冷たく大きな手に優しく握りしめられていた。
土「大丈夫、Aの父親は必ずや帰って来る」
A「…うん」ポロ…
溜まりに溜まっていた強い思いが、涙となり自然と溢れていた。土蜘蛛は私の身体に腕を回し、片手で後頭部を支え引き寄せてきた。
土「泣くが良い、気が済むまで傍にいよう」
A「うぅ…」
こんなに泣いたのはいつ以来だろうか。暫く泣いていたら、少しだけ気持ちが楽になっていた。
A「だいぶ楽になったわ」ニコッ
土「…そうか」
彼の事を避けていたにも関わらず、傷付いた素振りを見せる事が一切無かった。しかも、私の辛い思いを一番に理解してくれた。そんな彼を信頼出来る友達に思えてきた。
土「今日はもう遅い、屋敷まで送ろう」
A「…ありがとう」
何事も無く無事に屋敷に戻って来た。
A「気を付けて帰ってね」
土「うむ」
土蜘蛛は微笑んだ瞬間、溶け込むように消えて行った。
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甘栗(プロフ) - 奈乃さん» あらら、そんなにですか！？でしたら、もっと好きになってもえるような小説を書かなければ…！ (2017年10月23日 17時) (
レス) id: 48eea68ba9 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 土蜘蛛好きになりすぎて、本家より、元祖はになりそう………。 (2017年10月23日 16時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 奈乃さん» そう言ってもらえて光栄です♪土蜘蛛と夢主ちゃんがどうなるのか暫しご期待を！ (2017年10月22日 18時) (レス) id: 48eea68ba9 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - この小説を読んで、土蜘蛛好きになりました！ (2017年10月22日 11時) (レス) id: c59f4f4f60 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - キノコさん» ありがとうございます♪私なりに表現していくので、暖かな目で見守って頂ければなーと思います！ (2017年8月14日 7時) (レス) id: 48eea68ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘栗 | 作成日時：2017年8月9日 16時
