いつかの過去 ページ2
｢ところでさ、なんで俺のトコに来たの？｣
｢ぇ.....｣
その問いかけに対する答えをすぐに出せなかった。
混乱していたあの時、明確な思いを持って行動した訳ではなかったから。
｢わかんない.....でも、
あの時、あそこにいたくなくて
逃げたいと思った時、フロイドの姿が頭に浮かんで｣
｢そっかぁ｣
｢迷惑じゃ、ないの？｣
｢寧ろ他の野郎ントコ行ってたら相手の方を半殺しにてた｣
｢CCとか？｣
｢あー、アイツはぶっ殺す｣
｢それ死んでる｣
｢アハハ｣
そんななんでもない話が心を落ち着かせる。
未だ抱きしめてくれているフロイド。
あったかい体温と、心地の良い心音が伝わってきて、眠気を誘う。
｢なに、A？眠たいの？｣
｢.......うん｣
｢じゃあねぇ、俺が子守唄歌ってあげる｣
｢.......ぅ、ん｣
むかしは、わたしが、うたってたのになぁ
遠くなる意識の中で、聞き覚えのある、懐かしい歌が私を夢の世界へと誘った。
｢Oh, dear heart… So sweet｣
最後のフレーズを歌い終えたその時には、彼女はもう眠っていた。
自分の知らない、おそらくこの世界のモノでは無い言葉の歌。なぜ歌えるかは今も分からない。
それでもこのひとフレーズが愛おしい人と言う意味を持っているという事は知っていた。
腕の中で眠りこける彼女を見つめる。
いつも肌身離さず着けているピアスとネックレス。
ピアスは学園長からだというのは知っているが、このネックレスは分からなかった。
ただ、一つだけわかることは、このネックレスから感じる微かな魔力は自分のモノであるという事だけ。
｢Aは、何を隠してるんだろうねぇ｣
壊れてしまいそうな彼女にそっと問いかけた。
視線を感じ閉じている扉の向こう側へと声をかける。
｢なぁに、ジェイド｣
｢おや、気付かれてしまいましたか｣
｢当たり前じゃん｣
片割れの気配を察せないほど落ちぶれてはいない。
｢というか、何故Aさんがここにいるんです？｣
｢ん〜？.......家出中だってー。明日は一緒に学校サボるの。それで午後からおんぼろ寮行って必要なもの纏めて、これからこっちで一緒に過ごすんだ｣
｢という願望ですよね｣
｢アタリィ〜。ま、なるようになんでしょ｣
｢はぁ｣
フロイドの無茶ぶりには慣れているので、そこまで深いため息は出なかった。
｢Aさん、大丈夫なのですか？学校の方お休みされていたのでは？｣
無言が部屋を包む
何かを決心したかのような振り絞った声が響いた。
｢多分ねぇ、結構やばいと思う｣
不確定なその言葉はどこか確信めいたもので、静か過ぎる空間へ消えていった。
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クロ(プロフ) - コメント失礼します。もう、読む度に涙が…(/_;)更新楽しみにしてます！早く夢主に幸せが訪れて欲しいです… (2020年8月20日 16時) (
レス) id: 06dceaafd6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - よるさん» コメントありがとうございますっ！自分の小説で泣いてくださるなんて.......！！ありがたすぎます！ (2020年8月18日 19時) (レス) id: c74c94ff2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 小宮さん» コメントありがとうございますっ！！父親はクソですね笑 多分誰か気づいてくれます！楽しみしててくださいぃ！笑 (2020年8月18日 19時) (レス) id: c74c94ff2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - アップルパイ♪さん» コメントありがとうございますぅう！！........いつか帰ると思います(？)笑 これからもよろしくおねがいします！ (2020年8月18日 19時) (レス) id: c74c94ff2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 奏音☆色音さん» いつもコメントありがとうございますぅう！！地獄に落ちるよう願っといてください笑 これからもよろしくお願いします！ (2020年8月18日 19時) (レス) id: c74c94ff2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっこ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時：2020年8月12日 15時
