帰還、そして�� ページ6
アスタの手に持っていた剣はいつもと同じように見えて全く異なるものであった。それは大剣と表現出来た両手剣ではなく、片手で振るうことの出来る片手剣へと姿を変えていたのだ。
素早くダガーを斬ったアスタは相手へ向かって突っ込んでいく。羽を振り払い、遅れながらもダガーをアスタに飛ばしたものの、アスタは飛んでくる全てのダガーを斬っていく。そのスピードに相手が異変を感じる頃、相手の眼前に飛び込んできたアスタが彼の纏う鉱石の鎧を斬るのだ。
戦況に適応した形状になったとしても、回復魔法を持つ相手との戦いは鼬(いたち)ごっこだ。アスタもそれに気付いているようで、流れる汗を乱暴に拭う。
「なにやってるのよ、バカスタ」
「「！」」
「ノエル……！」
「アンタは王族の私が認めてあげた下民よ。あんなヤツ、さっさと倒しちゃいなさいよ、アスタ！」
『あれは……？』
意識を浮上させたノエルの激励にアスタは大きく頷いた。ノエルがただ単に激励をしただけではなく、彼女からアスタに向かって魔が移動したことに気付く。アスタ自身それを漠然と感じ取ったのか、鈍く光る剣を掴んで相手へと駆け出した。
「どげ、そいつを消してやる……！」
「そんなことさせるかァ！ オレには魔力がない。だけどオレには――仲間がいる！！」
走り込んで普段通り相手へ向かって剣を振るうのかと思えば、アスタは僅かに相手との距離を残したまま剣を振るった。刹那、剣の切っ先から斬撃が飛び出して相手の懐へ飛び込む。その属性は、水だ。
「こんなモノ！」
相手は魔力を振り絞り水の斬撃を迎え撃つが、魔力の込められた斬撃は相手の鉱石を打ち負かす結果となった。
「！ アスタくん」
地に倒れ込む相手に勝利を確信するが、チャルスの悲痛な声がこの場に響き渡る。
アスタの腹部にのめり込んでいるのは相手が最後に放った鉱石の刃。チャルスの羽で僅かに緩和されたものの、腹部に突き刺さる刃にアスタは倒れ込むのだ。
「アス、タ！？」
「しくっ……た」
「アスタァァァァ！」
『！ まだ来る』
倒れるアスタに向かってきたのは先ほどアスタに吹き飛ばされた相手だ。鉱石の鎧が邪魔で斬撃が思うようにヒットしなかったのだろう。しかし相手も息絶え絶えの状況であり、精神力だけで立ち上がっている気がする。
最後になるだろう魔法はアスタにトドメをさすための、大剣だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Maho(プロフ) - 神崎さん» はい、ぜひぜひ (2018年9月2日 0時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - Mahoさん» こちらでもありがとうございます！ 二人とも格好いいですよねー。大好きなキャラです！ これからも絡ませていく予定ですー (2018年9月2日 0時) (レス) id: 5ebc5379b1 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - ブック1から一気にここまで読みました。とても面白くてはまりました。個人的にはエトとレオポルドやﾕﾉも好きですがノゼルやウイリアムもカッコイイですね！ (2018年8月31日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 香々さん» はじめまして！ ブラクロの作品少ないですよね……。糖分少なめですが、そう言っていただけると嬉しいです。私もウィリアムとノゼル好きです。これからも続きます故、よろしくお願いします。メッセージありがとうございます！ (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - ヒナピヨ★さん» はじめまして！ メッセージありがとうございます。一番なんて、恐れ多いです。エトのことまで……重ね重ねありがとうございます。楽しんでいただけたようでなによりです！ これからもよろしくお願いします。 (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神崎 | 作成日時：2018年1月19日 11時
