王都襲撃：後編�� ページ44
side.エト
「チッ(アイツが魔法を使っても血溜まりが広がってきている一方だ。早く専門医に診せねーとマジでヤバいな)」
「さっきはよくもナメた口利いてくれたなあ！」
一瞬の気の緩みがあってか、俺の拘束魔法が解けて屍野郎がレオポルドに一発お見舞いしてみせた。それを避けることも出来ずに吹っ飛んだ姿に再び舌打ちをしてみせた。
Aもあれだけ動揺してんだ。レオポルドも未だ正気に戻れていないのだろう。
「正しき心だぁ？ オレはいつだって自分の心に正直に生きてるぜ、あの世でほざいてな。フエゴレオン・ヴァーミリオン！」
「目的は果たした。他の騎士団員が来る前に行くぞ、ラデス」
「くそっ、待ちやがれ！」
Aを説得するよりも相手を捕える方が容易いだろう。そう判断したものの、空間魔法のおっさんの言葉に嫌な汗が伝う。拘束していた敵を逃がしたのは愚か、王都から逃すなんざあってはならないことだ。俺の魔力では鵺を出すことは１回が限度だ。しかし、クソチビは手負いで攻撃は難しいだろうし、レオポルドもあんな感じだ。Aとノエルは戦力外となれば、俺がなんとかするしかないだろう。
鵺を出せばまだ俺一人でも勝機が残されている。一か八かの賭けに出るべく魔導書を開いて魔法を唱えようとした時、空間魔法のおっさんが唇を押し広げて不気味に笑ってみせたのだ。
「“曙の雫(あけぼののしずく)”」
「！！？」
「お前はソレを俺たちから守れるのか？」
押し広げられた不格好な唇から紡がれた言葉に動揺して一瞬の隙が生まれる。我に返って行動に移そうとした時、敵の足元には空間魔法が広がっていたのだ。
「！ 待っ」
「待ち、やがれ！」
相手から受け傷口から血が止まらず、よろけながらも飛び出したクソチビが俺の前に出る。そして、自分の持っていた大剣をめいいっぱいぶん投げたのだ。
“エト、エト！ 聞いてよ。下民の子でね、凄く面白い子と仲良くなったんだよ！”
“あの子はきっと化ける。……団長としての私の勘と、私自身の期待がそういってる！”
「……へえ」
大剣は反魔法だ。足元にあった空間魔法を打ち破る能力を発揮させた。
それによって逃げようとした敵の足止めが出来る。相手が驚いた一瞬の隙に“チビ”は駆け出して相手へ一撃入れてみせる。
「ぎゃあああ！ いてえぇ、なにしやがるこのクソがぁぁぁあ！」
「人をあれだけ傷つけて何言ってやがる！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Maho(プロフ) - 神崎さん» はい、ぜひぜひ (2018年9月2日 0時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - Mahoさん» こちらでもありがとうございます！ 二人とも格好いいですよねー。大好きなキャラです！ これからも絡ませていく予定ですー (2018年9月2日 0時) (レス) id: 5ebc5379b1 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - ブック1から一気にここまで読みました。とても面白くてはまりました。個人的にはエトとレオポルドやﾕﾉも好きですがノゼルやウイリアムもカッコイイですね！ (2018年8月31日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 香々さん» はじめまして！ ブラクロの作品少ないですよね……。糖分少なめですが、そう言っていただけると嬉しいです。私もウィリアムとノゼル好きです。これからも続きます故、よろしくお願いします。メッセージありがとうございます！ (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - ヒナピヨ★さん» はじめまして！ メッセージありがとうございます。一番なんて、恐れ多いです。エトのことまで……重ね重ねありがとうございます。楽しんでいただけたようでなによりです！ これからもよろしくお願いします。 (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神崎 | 作成日時：2018年1月19日 11時
