王都襲撃：中編�� ページ40
「ま、先に魔導書回収させてもらうわ」
「やめろぉぉおお！ オレの魔導書に触るなァァ」
相手から取り上げた魔導書を開くなり、エトが固まったことに気付く。腕の隙間から覗き見れば、魔導書に記されている魔法はたった一つ。あれだけの魔力量を持ち、才能もあった相手の実際に私たちは唖然とするしかなかった。
「オレを蔑んだ(さげすんだ)目で見るんじゃねええぇえ！」
首を振り必死に抵抗してみせた相手が初めてみせた“劣等感”。その感情に直面した時、声を真っ先に上げたのはアスタだった。
「誰がそんな目で見るかよ……！ 違うやり方で認めさせれなかったのかよ。そんなすげえ魔力があるのに、そんな這い上がってくる力があるのに、もったいねえ」
「お前とは違うタイミングで出会いたかったものだな。そうすれば、今とは違う道が拓けてたかもしれねえ」
『アスタ、エト……』
魔力の持たないアスタからすれば、魔法一つ覚えていることだって羨望に尽きるのだろう。エトの言葉に私は彼との出会いを思い出してしまう。
“身分が、出身がなんだ！ クソッ、いつか皆殺しにしてやるからな……ッ！ 生きてきたことを後悔するくらい呪ってやる！！”
「……A、A！」
『！ すみません。ちょっと考え事してました』
エトから魔導書を受け取った兄さまが私を覗き込んでいたので慌てて首を振る。その様子を不思議そうに見られるが、私は兄さまに続いて拘束されている彼の前に立つ。
「逆境でも越えられるオマエに足りなかったモノ、それは正しき心だ！ 罪を償え」
兄さまの言葉に相手が歯を食いしばったことに気付いた。主犯格と思える相手の末路は尋問からの投獄だろう。
怒りか、或いは悔いか。頑なに言葉を紡がない相手に兄さまは畳みかける。
「最低でもあと一人、空間魔法の使い手が王都に侵入して来ているはずだ。そいつはどこにいる？ もう逃げたのか？」
『キミの私的な目的が復讐だったとしても、組織としてはなにが目的なの？』
言葉を繋いで紡げば、歯を食いしばっていた相手が小さく笑い声をあげる。この場で悠長に笑っている様子に僅かに身構えた。私の魔導書が僅かに震え、危険信号を放っている。何かを見落としている気がしてくるのだ。
「ククッ、ククク……本当の狙いはなぁ、アンタだよ！ フエゴレオン・ヴァーミリオン！！」
「何！？」
『兄さま！？』
「A、退けろッ」
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Maho(プロフ) - 神崎さん» はい、ぜひぜひ (2018年9月2日 0時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - Mahoさん» こちらでもありがとうございます！ 二人とも格好いいですよねー。大好きなキャラです！ これからも絡ませていく予定ですー (2018年9月2日 0時) (レス) id: 5ebc5379b1 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - ブック1から一気にここまで読みました。とても面白くてはまりました。個人的にはエトとレオポルドやﾕﾉも好きですがノゼルやウイリアムもカッコイイですね！ (2018年8月31日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 香々さん» はじめまして！ ブラクロの作品少ないですよね……。糖分少なめですが、そう言っていただけると嬉しいです。私もウィリアムとノゼル好きです。これからも続きます故、よろしくお願いします。メッセージありがとうございます！ (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - ヒナピヨ★さん» はじめまして！ メッセージありがとうございます。一番なんて、恐れ多いです。エトのことまで……重ね重ねありがとうございます。楽しんでいただけたようでなによりです！ これからもよろしくお願いします。 (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 | 作成日時：2018年1月19日 11時
