僅かな歪み�� ページ17
「明日、魔法帝に魔宮での任務報告をするんだ」
『私も丁度用事があるから魔法帝に会いに行くんだよねー。あ、そうだ！ エトに頼んで晩御飯食べて帰る？』
金色の夜明け団での生活を詳しく知りたいし、あわよくばウィリアムさんの面白い話があれば聞いてみたいと思ってしまう。一方的に浮かんだ妙案が嬉しくてシーツを跳ね除けてしまう。エトの所へ行こうと床に足を付けた時、二人の話し声が聞こえてくるのだ。
その人物を特定する間もなく扉が開かれる。そこに立っていたのはノゼルさんで、遅れてやってきたエトが罰悪そうな表情を浮かべていた。
『！ ノゼルさん？』
彼は私の呼びかけに耳を傾けていないようであった。扉を開いてから一度も私に目を向けておらず、私の隣に居るユノのことを見ているみたいだ。
ユノに向けられている瞳は鋭くも冷たい。普段から感情が分かりにくい人だとは思っていたけれど、私は彼の冷たい瞳に言葉を失ってしまう。私には一度も向けられたことのない瞳だ。
「貴様、何故此処へ？」
「貴様ではなくユノです。金色の夜明け団所属のユノです」
「名は聞いていない。お前がなぜ此処へ居るかと聞いているんだ」
色のない瞳がユノに向けられるが、彼が物怖じする様子はない。しかし、いつも以上に鋭く尖っているノゼルさんの声に困惑を通り越して不安を覚えてしまう。
最悪の事態と言えるだろう。ノゼルさんは身分に対して厳しい。ユノが下民出身であることは彼の耳にも届いているだろうし、私は二人の仲裁に入る言葉を探すので精一杯だった。
「なぜと言われても、Aが熱を出していると聞いて心配になったので来ました」
「……ふん、下民風情が王族の屋敷を跨ぐなんぞあってはならんことだ。失せろ」
「小僧には用事があったんだ。ちょっと顔借りていいか？」
「はい」
機転を利かしたエトの言葉にユノは静かに頷いた。去り際に視線が合うものの、彼からの言葉はない。
２人が去ってからの重々しく息がしにくいこの空間は戦場とはまた違った緊迫感を私に与える。
ベッドの淵に座る私を遠目で見るノゼルさん。そこで初めて彼と視線が交わった気がした。
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Maho(プロフ) - 神崎さん» はい、ぜひぜひ (2018年9月2日 0時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - Mahoさん» こちらでもありがとうございます！ 二人とも格好いいですよねー。大好きなキャラです！ これからも絡ませていく予定ですー (2018年9月2日 0時) (レス) id: 5ebc5379b1 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - ブック1から一気にここまで読みました。とても面白くてはまりました。個人的にはエトとレオポルドやﾕﾉも好きですがノゼルやウイリアムもカッコイイですね！ (2018年8月31日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 香々さん» はじめまして！ ブラクロの作品少ないですよね……。糖分少なめですが、そう言っていただけると嬉しいです。私もウィリアムとノゼル好きです。これからも続きます故、よろしくお願いします。メッセージありがとうございます！ (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - ヒナピヨ★さん» はじめまして！ メッセージありがとうございます。一番なんて、恐れ多いです。エトのことまで……重ね重ねありがとうございます。楽しんでいただけたようでなによりです！ これからもよろしくお願いします。 (2018年2月4日 15時) (レス) id: 82f870f677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 | 作成日時：2018年1月19日 11時
