気づかれてる ページ8
しばらく歩きながら何でもない雑談をする。
山本「__優弥はさ、代表に選ばれたの初めてなわけやん?どう?」
「別になんもないっすよ。嬉しいなーって感じで」
山本「最近はそう見えんけどな。なんか堅いし肩身狭そうやけど」
「…っそんなことないです」
山本「ほらそれ」
これだから由伸さんは嫌だ。
僕自身が取り繕った僕を壊してくる。
「…どういうことですか」
山本「いつもの優弥やったらそんなに見てるなんて僕のこと好きなんですか〜?とかもっとふざけてるはずや。自分でもわかってるんやろ?…ちゃんと聞くから」
「……どう、って気持ちとかの話ですか?環境?」
由伸さんはちょっと考え込むように眉をひそめた。
山本「まあ、どっちも」
「気持ちとしては…」
ぽつりぽつりと話す。
せっかくの強がってる自分が崩れ、弱気な自分が顔を出す。
由伸さんという圧倒的な大エースを前にしても、足掻いていたい自分と、大人しく引き下がるべきだと思う自分が
ぶつかり合っている。
「気持ちとしては、というか、話すと長くなるんですけど、僕の過去の話からいいですか?」
山本「うん」
「僕、こういう風に代表に選ばれる以前に高校3年間、地方大会すら出たことありません」
山本「甲子園で聞いたりせんかったなと思ってたけど」
「僕の高校は甲子園なんて夢のまた夢、県予選ベスト8が目標でしたから」
山本「そうなんや」
「人より短い野球人生で、初めて少しだけ注目を浴びたのは、高校1年の時に出場した新人戦でした」
山本「うん」
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作者名:ななせ | 作成日時:2023年5月8日 23時