闇夜に溶ける ページ35
『...............ん。』
私は布団から体を起こした。
ゆっくりと立ち上がり、障子を開ける。
『........月が、ない。』
辺りを探すが、月はどこにも見えなかった。
恐らく今日は新月だろう。
だから、次の満月は.........。
『.........あと、半月。』
ここにとどまれるのは、あと少しの時間しか、残っていなかった。
鴉「カァーカァー!南南西!!南南西!!鬼ガ出タ!直チニ向カエ!!」
私の鎹鴉なのか、私の上空で円を描くように飛んでいた。
ほとんど無意識行動で布団の傍にあった薙刀の形をした日輪刀を手に取る。
『行ってきます。』
私は闇夜に溶け込んだ。
現場に辿り着くと、そこには鬼が一体、歩いていた。
『.......こんばんは。今夜は星が綺麗な夜ですね。』
「!!鬼狩りか!ふはは、無様だ!月のないこんな夜に鬼を狩ろうとするなんて!
ちょうどいい、今晩の食いモンにしてやるよ!」
そう言って鬼は私に向かって突進してきた。
私はそれを難なく避ける。
『涙の呼吸・壱の型───』
涙痕一線
そして、鬼の頸は容易く切れ、鬼は塵とかした。
『まだ、鬼はいるの?』
鴉「次ハ東ヘ向カエーー!」
私は鴉の言葉通り、東へ駆けていった。
たどり着いた場所は、小さな山小屋だった。
私は扉に手をかけ、中を覗いた。
『.......うわ、匂いヤバ.......。』
そこは、かつて人だったモノとそれに流れていただろう血液が飛び散り、見ていられない無残な光景だった。
「ほぉ......次はどんな鬼狩りだァ.....?」
刹那、背後から声が聞こえ、私は飛びずさる。
『お前か.......こんな様なことをした犯人は。』
「ケッ、まあな。鬼狩りは鍛えてっからそいつらを喰えばぁ俺は強くなる。ま、現に俺は強えからなぁ。お前みたいな女なんて、瞬殺だぜ?」
余裕をかましている鬼は酷く醜い姿だった。
私は小さくため息を着いた。
そして。
『涙の呼吸・参の型──────』
「.......は。何したか知んねぇけど.......?!」
鬼は挑発するようにそう言ったが、途中で言葉は切れた。
「え.........は、なんで、俺が.......。」
『せめて、殺した人たちを綺麗に食べるべきだったな。』
私はそう言ってその場を後にした。
私は、他人の悲しみを気にかけるほど、余裕なんてない。
自分がどうすべきなのか、自分の意思がないから。
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☆*かすみ*☆(プロフ) - 梅昆布茶さん» そうですよー!私なんてもう底辺の底辺の底辺の(以下略)なので〜☆← (2020年11月14日 18時) (レス) id: 161666c480 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 永遠さん» どーんどん突っ込んでくれ(笑)私も好き。相思相愛だね(いい笑顔)← (2020年11月14日 18時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
永遠 - 突っ込みが追いつく気がしません。好きです( (2020年11月14日 17時) (レス) id: c92df6b0c7 (このIDを非表示/違反報告)
梅昆布茶(プロフ) - 煮込みうどんさん» ありがとうございます!そう言っていたたげると私自身、大きな自信になるのでバンバンそう言う言葉くれ。(欲しがり) (2020年9月5日 11時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
梅昆布茶(プロフ) - 掠実さん» いえいえ〜、ありがとうございます!(満更でもない)実は天才なんでs(((強制終了 (2020年9月5日 11時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年5月18日 13時