愛を知らない少女【歌い手】【鬼滅の刃】 (ページ41)

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27話ページ41

──翌日。

俺は藍良の決勝戦を見ていた。

藍良たちは劣勢で、勝ち目は殆ど見えなかった。

『.......後輩セッター、呑まれんな』

藍良のチームのセッターは点差に焦ったのか、序盤よりも動きがわかりやすい、予測しやすかった。

『相手.......デディケート・シフト(※)に変更か。存在を主張しろ。疲労なんて関係ない。』

※デディケート・シフト…ブロッカーがコートの左右どちらかに片寄ること。

それをしたということは藍良に大きなプレッシャーを与えるということ。

点差が開く中、藍良にとってはイタイかもな。

そんなことを考えながら試合を見ていく。

そして、試合は決着をつける。

藍良たちは試合に負けた。

『.......チッ』

俺は舌打ちして、自室に戻ろうとした。

炭「Aさん。」

背後で炭治郎が俺を呼んだ。

炭「Aさんは今もあの中にいるみたいでしたよ。」

炭治郎がそう言った。

『......だから.......なんだよ』

俺は振り返って炭治郎を見た。
炭治郎は泣いてしまいそうなほど優しい表情を浮かべていた。

炭「だから.......」

志「うおーい、A！試合のダビング出来たぞー！」

炭治郎が何かを言いかけた時、まーしーがそう言いながら来た。

『.......見る。』

俺はまーしーからCDを貰い、「バレーノート」と称している欠点などをまとめるノートを持ってくる。

まーしーに答えるために放った言葉の前に間が空いたのは、ただ、素直に試合が見たかったのか、それとも炭治郎から出る言葉を聞いたくなくて逃げたのかは分からなかった。

試合のビデオを再生し、欠点を見つけ出す。
時折、一時停止をしたり、早送り又は少しだけ時間を戻したりした。

実際、間が空いてしまった原因の答えは出ていた。
前者も後者もどちらも答えだった。

分かりたくなかった。理解したくなかった。認めたくなかった。

そしてビデオは最後のトスを映していた。

『.......これは、ミスじゃない』

俺は無意識にそう口に出していたようだった。

このトスミスは汗のせいだと。

長いラリーが続いた故の汗のせいだと、言い訳した。

俺は完璧にトスを打ったつもりだった。

ボールについた全員分の汗が、俺がかいた汗がそれを起こさせた。

仕方の無い事だと、自分に言い聞かせた。

でも、それは所詮言い訳に過ぎなくて、どれだけそれを言ったって事実は当然変わらない。

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