23話 ページ37
──ボールが地面に落ちた時、ボールが落ちる音以外、何も聞こえなかった。
喜ぶ相手の観客、お疲れ、いい試合だった、と、褒める自分たちの観客。
声、声、声。
全てが俺を、最後のあの一球を責め立てられている気分だった。
俺のせい。
それがずっと頭ン中をグルグルしていた。
下「A先輩.......。」
下野が俺を心配するように見ていた。
『.....あぁ、すまない。早く片付けて出よう。』
敗者には感傷に浸る時間は無い。
コートから立ち去るのが良き判断。
主将の俺がこんなんでどうする。
泣くな、俺。ちゃんと主将で居ろ。
後輩たちが片付けをし始めたのを見て、俺も自分の物を片付ける。
すると、
澤「.....東A。」
先程戦いに見事に破れた、澤岸藍良が居た。
『........ンだよ』
弱々しく俺は返事をした。
澤「お前のチームはお前だけが強い。負けた理由はそれだ。お前が私と同じチームでいれば.......」
『なんだよ?!お前!いつもいつも同じ事ばっか!!そんなに俺が欲しい存在か?!
いいか?!勝ち負けの必ず着くモノで、"絶対"なんてないんだよ!!"最強"なんて存在しないんだよ!!分かってんのか!!!
お前と俺が同じチームだったら勝てる?俺が居ればさらに強くなる??』
負け犬の遠吠えだって分かっていても俺は藍良に言った。
『そんなの、天地がひっくり返ってもねぇよ!!
お前は俺の大事なチームメイトを侮辱した!!
強くなるために努力だってしてる!!
なのに、俺以外は弱いから負けた、だど?
ああ、そうだったな、いつもお前は俺以外の仲間を下に見た。
だがな、お前が俺たちのチームの値踏みをしてる間に俺たちは今よりも強くなってやるよ。』
俺は片付けを終え、立ち上がった。
『藍良、"またな"』
俺はそう言った。
藍良は瞳を僅かに開いた後、微笑を浮かべ、
澤「あぁ、"またな"」
そう言った。
これは、俺なりの宣戦布告。
春高。そこで今度こそ藍良に勝ってやる。
俺は藍良と別れ、自分のチームの元へ向かった。
.
──今、俺たちの夏が終わった。
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梅昆布茶(プロフ) - 春佳さん» ほんと?!ありがとう!コメントたくさんありがとね!! (2020年6月4日 16時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
春佳(プロフ) - 見てて楽しいです! (2020年6月4日 12時) (レス) id: cf3d4a170d (このIDを非表示/違反報告)
梅昆布茶(プロフ) - 春佳さん» ありがとう、ほんと、頑張るわ! (2020年6月3日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
春佳(プロフ) - 頑張ってくださいね(^-^) (2020年6月3日 21時) (レス) id: cf3d4a170d (このIDを非表示/違反報告)
梅昆布茶(プロフ) - 春佳さん» ありがとう〜!私、更新しなきゃなって思ってるけど、時間がないんだよねぇ〜。 (2020年6月1日 18時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年4月17日 17時