メサイア~蛍色~ (ページ8)

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気になること3 ページ8

「おい！！沙耶！！」
沙耶がやっと足を止めたのは屋上。
軽く息が切れていた。
「お前、あいつとどういう関係なんだよ。」
沙耶は何も答えない。
少し苛立ちを覚えた俺は、沙耶の肩を乱暴に掴んだ。
「なんかいえ…よ…」
目を疑った。
あの沙耶が両目から涙をこぼしていた。
音もなく、静かに。
「れ、いじさ…」
そのまま力なくその場にしゃがみ込んだ。
「嶺二さん…」
そこで全て理解した。
あいつと沙耶は恋人なんだと。
大切な人とあいつが言ったのはそう言う事だったのかと心の底から思った。
「周は、嶺二さんと…」
「会った。
あいつは俺の腹違いの…」
そこで言うのをやめた。
認めたくなかった。
まだ、認める訳にはいかない。
「元気そうだった？」
「ああ。」
「そう…か…」
そういうとまた声を押し殺して泣き始める。
こういう時、俺はどうしたらいいのか分からずただ呆然と見ていた。
「手紙、なんて…」
「『必ず、君を迎えに行く。だからそれまで待っていて欲しい。君のことを絶対に忘れない。愛してる。』って。
嶺二さんらしいなぁ…」
涙で声を震わせたまま答える沙耶。
きっとあのペンダントには、二人の写真でも入ってるんだろう。
そう思うと胸がチクリと痛んだ。
思わず胸を押さえる。
「嶺二さんに、会いたいなぁ…」
そう小さく呟く沙耶に俺は何も言えなかった。