book 9 ページ9
この手錠を破壊して、マークス中佐のあの不気味な顔をボコボコに殴って、ジェイミーをそのまま連れて行きたくなった。
それがどういう感情なのか俺にはよく分からなかった。
自分自身の感情だというのに分からないのだ、笑えるだろう。
ただ一つ分かったのは、俺はあいつをここから解き放ちたいということだけだ。
階段を上って、上って。
部屋に入ったと思えば出て、見回りの人間に声を出させる暇もなく攻撃を仕掛ける。
私はただ呆然とイザワカズオに着いていくだけで、何も考えられなかった。
「ジェイミー、来い。」
そう言ってイザワカズオが私に手を差し伸べる。
この手は、信じていい手なのか。
信じてはいけないと心の中で私が叫んでいる。
でも。
「うん。」
この手は怖くない。
手を引かれながら走ると、イザワカズオが突然立ち止まった。
「どうしたの?」
彼は部屋の突き当たり、何も無い壁に恐る恐る近づきそっと触る。
この壁になにかあるというのだろうか。
「捕虜が逃げたぞ!」
「上だ!上にいるぞ!」
「三階だ!」
追手の声が忙しなく耳を劈く。
人間たちはすぐそこまで来ている。
「イザワ」
やはり、信じるべきでなかったのだろうか。
そう思った時だった。
イザワカズオが何かを見て、息を呑む声が聞こえた。
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きさひろ(プロフ) - 魚占さん» ありがとうございます.*・゚(*º∀º*).゚・*. (2017年5月25日 20時) (レス) id: 8601f45511 (このIDを非表示/違反報告)
魚占 - 次回作も楽しみにしてます (2017年5月25日 20時) (レス) id: cf3d1ff74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きさひろ | 作成日時:2017年5月17日 18時