検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:12,373 hit

book 9 ページ9

この手錠を破壊して、マークス中佐のあの不気味な顔をボコボコに殴って、ジェイミーをそのまま連れて行きたくなった。


それがどういう感情なのか俺にはよく分からなかった。
自分自身の感情だというのに分からないのだ、笑えるだろう。



ただ一つ分かったのは、俺はあいつをここから解き放ちたいということだけだ。




階段を上って、上って。
部屋に入ったと思えば出て、見回りの人間に声を出させる暇もなく攻撃を仕掛ける。
私はただ呆然とイザワカズオに着いていくだけで、何も考えられなかった。

「ジェイミー、来い。」

そう言ってイザワカズオが私に手を差し伸べる。
この手は、信じていい手なのか。
信じてはいけないと心の中で私が叫んでいる。
でも。

「うん。」



この手は怖くない。


手を引かれながら走ると、イザワカズオが突然立ち止まった。

「どうしたの?」

彼は部屋の突き当たり、何も無い壁に恐る恐る近づきそっと触る。

この壁になにかあるというのだろうか。

「捕虜が逃げたぞ!」

「上だ!上にいるぞ!」

「三階だ!」

追手の声が忙しなく耳を劈く。
人間たちはすぐそこまで来ている。

「イザワ」

やはり、信じるべきでなかったのだろうか。
そう思った時だった。
イザワカズオが何かを見て、息を呑む声が聞こえた。

book 10→←book 8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きさひろ(プロフ) - 魚占さん» ありがとうございます.*・゚(*º∀º*).゚・*. (2017年5月25日 20時) (レス) id: 8601f45511 (このIDを非表示/違反報告)
魚占 - 次回作も楽しみにしてます (2017年5月25日 20時) (レス) id: cf3d1ff74b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きさひろ | 作成日時:2017年5月17日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。