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book 3 ページ3

彼が何かを刺されてから少し経った。
ただでさえ酷い顔だったというのに、もっと酷い顔になった男は椅子にもたれかかりながら、マークスが流している何かをぼんやりと聞いているようだった。
私は命令を出されないから、ただぼんやりとその光景を見つめている。


どうやら彼の名前はイザワカズオと言うらしい。
皆がそう呼んでいるからきっとそうなのだろうが、スパイというものは嘘の名前を名乗るのできっと嘘なのだろう。
イザワカズオは日本の人間で、D機関というユウキという人間が作ったところから来たらしい。
先程から流れている誰かの会話がそう告げている。


そろそろこの光景に飽きてきた私は男に言われたことを気にして再び本のページを広げる。

先程の青い何かの正体は結局わからない。
後で誰かに教えてもらおう。

次のページは緑が広がっていた。
これの正体は知っている、森だ。

森には動物が居ると聞いたことがある。
シカとか、リスとか、クマとかいう動物がいるらしい。

その次のページは、白。
これは雪だ。
スラム街にいた頃に見た事がある。とても寒い時に降るものだ。
白くて、一見美味しそうに見えるけど味は全くしない、不思議なものだ。


ふと顔を上げると、居たはずのマークスの姿はそこになかった。
疲れきった顔のイザワカズオと人間。
今なら、この青いものの正体を聞けるのではないか。
私は本を持って立ち上がり、ずんずんと近づいていく。

「ねぇ。」

私は例のページを広げて見せた。

「これは、何?」

イザワカズオに。

「えっ…?」

「イザワカズオはいろんな所に行ったことがあるでしょう?スパイだし。だから、これの正体も知ってるのかなと思って。」

「…………」

イザワカズオは驚いた顔で私を見る。
私はその顔をじっと見つめる。
近くで見ても酷い顔だが、よく見ると整っている。
実はかっこいいのだろうか。

「………それは、海。」

イザワカズオがポツリと呟く。

「うみ?」

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きさひろ(プロフ) - 魚占さん» ありがとうございます.*・゚(*º∀º*).゚・*. (2017年5月25日 20時) (レス) id: 8601f45511 (このIDを非表示/違反報告)
魚占 - 次回作も楽しみにしてます (2017年5月25日 20時) (レス) id: cf3d1ff74b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きさひろ | 作成日時:2017年5月17日 18時

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