book 15 ページ15
「船だけでそんなに興奮してるやつ初めて見たよ。」
カミナガは肩を竦めながら私の隣に座り、私の頭をポンポンと撫でた。
「空だってこれから死ぬほど見れるのに今からそんなに興奮してて大丈夫か?」
「大丈夫!」
「そっか。」
まだ興奮が冷めないみたいで、私は足をパタパタさせながらカミナガを見上げる。
今日は雲があったせいで青い空はまだ見れてないけれど、これから沢山見れるんだ。
死ぬまでずっと、見れるんだ。
そう思うとまた胸の中から興奮が押し寄せてくる。
「んふふふ!」
「何笑ってんだよ。ああそうだ。」
カミナガがなにか思い出したように手をぽんと叩く。
「なに?」
「そんなお前にぴったりの話があるんだ。聞くか?」
「聞く!」
「よし。イングランドっていう国のヨークってところで生まれたとある男がいるんだ。彼の名前はロビンソン・クルーソー。ロビンソンはな……」
ゆらゆらと揺れる部屋と、心地のいいカミナガの声と話。
これが、幸せというものなのだろうか。
まさか2回もこのロビンソンの話が役立つと思わなかった。
随分と疲れていたようで、話し始めてすぐジェイミーは俺の膝で眠り始めた。
スヤスヤと寝息を立てて寝る無防備な姿はあの場所じゃなかなか出来なかっただろう。
「中佐にどうやって言い訳しよっかな…」
灰色の髪をポンポンと撫でながら俺はポツリと呟く。
あの中佐の事だ、ちゃんとした理由を言わないと捨ててこいとか言われそうだ。
「言い訳なぁ…」
懐かれて勝手に付いてきた?いや、海を見せてやるって行って外に出したのは俺だし…。
「あっ。」
頭の中にいい案が思いついた。
俺は思わずにやりと笑う。
これならきっと大丈夫だ。
きっと俺は25日後、中佐にこう言っているだろう。
「こいつを連れていったら面白いことになると思ったからですよ。」
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きさひろ(プロフ) - 魚占さん» ありがとうございます.*・゚(*º∀º*).゚・*. (2017年5月25日 20時) (レス) id: 8601f45511 (このIDを非表示/違反報告)
魚占 - 次回作も楽しみにしてます (2017年5月25日 20時) (レス) id: cf3d1ff74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きさひろ | 作成日時:2017年5月17日 18時