砕ける (ページ6)

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｢もしかして､おれやばめ？｣
｢うん、大分｡｣
｢まじかぁ〜…｣
ありもしない手を額につけるようにして､彼は落ち込んだように言う。
｢うーん…代わりの腕さ､緒の浜に行ったら見つからないかな？｣
｢それは名案すぎだろ｡じゃあ早速…｣
｢まず帰ってから！報告！｣
走っていきそうな彼を引き止める｡らっだぁは少し不満げな顔をしていたが､また月人が出るかもしれない｡無理をさせるわけにもいかない｡
｢らっだぁさ､夢でなに見たの？｣
｢え？あ〜…ぺいんとと初めて会った時の夢？｣
｢もしかしてさ､その時の大事なものを忘れてるんじゃない？｣
もしかして､確証はないけれど､なんとなくそう思った｡
でも、それが本当なら、なぜらっだぁの名前を？
｢最初､おれ自分が一番大事で、ぺいんとのことなんてどうでもよかったんだよ｡｣
｢え…あ、そう？｣
｢だから､おれの名前を忘れたんじゃない？｣
｢それかもしれないね…｣
そう話しているうちに､いつのまにか太陽は傾き、学園へ帰っていた｡きっとそうだ､彼は彼のことが大事で、前に俺以外に組んだことがないと言っていた｡それで合っていると思う｡とにかく先生に言わなきゃ｡
｢じゃあ、先生に報告するね｣
｢あ、おれもいくわ｣
そうしてるうちに､先生からこっちへ来た｡両腕のないらっだぁを見た瞬間､ものすごい地響きとバキ、ベキ､と床が割れる音を立てながら鬼の形相でこちらへ向かってきた｡
｢ベキリーブルーガーネット､腕はどうした｡｣
｢へ？あ、月人に…取られちゃいました｡ガハ…｣
｢ベキリーブルーガーネット｡｣
｢はい！！｣
｢明日､ファイヤーオパールと緒の浜へ行って来なさい｡ファイヤーオパールは1人、誰かと一日だけ組んでもらうように｡｣
｢は、はい！｣
先生はそう言って、去っていった｡もうすぐ冬だから､急がないと｡さっきから胸らへんがキリキリと痛い｡
俺のせいでこうなったんだ｡俺がもっと早く行っていれば､らっだぁの腕は無くなってなかった｡また助けられたんだ｡
｢俺のせいで…ごめん…らっだぁ…｣
｢あんまり自分のこと責めないでよ､おれは月に行ってない｡腕だけだからさ〜」
笑いながらそう言う彼｡慰めのつもりなんだろうけど､自分が一番悪いことなんてわかってる｡俺は､もっと強くないとだめなんじゃないか？
｢それよりさ、もう寝よ｡夜だし、考え事はまた明日でいいんじゃない？｣
｢うん…おやすみ…｣
眠りと彼､何か関係が？腕のことも､考えることがいっぱいだ｡