砕ける (ページ5)

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眠りページ5

｢…｣
あの夢？を見てかららっだぁは､よく眠るようになってしまった｡なんでかよく分からないけど､多分疲れてるんだからと思う…ことにした｡
｢あ！らっだぁ！予兆の黒点だよ！｣
｢ん…？ぁあ〜…月人ね〜…｣
らっだぁは眠そうな顔でそう言う｡らっだぁは体をゆっくりと起こし､鞘から剣を抜き､構えた｡
｢じゃあ､ぺんちゃんはおれのサポートして、ね！｣
あたりに風を起こすほどの力を地面に加え､あっという間に飛んでいってしまった｡それを追うように俺も跳び、雲へ乗る｡
｢らっだぁ？どこ？｣
乗ったはいいものの､あたりが煙に包まれてよく見えない｡
月人を斬った後の煙だと思うが､何か不安がよぎって仕方がなかった｡
「あ、ぺいんと｡もう倒したよ､けど…｣
｢あ！らっ､だぁ…？｣
ようやく霧が晴れ、気付けば地上にいた｡彼の声が聞こえた｡聞こえたまではよかった｡そのことだけでも嬉しくてすぐに名前を呼ぶ｡声をした方へ振り返ると、そこには両腕がなくなった彼がいた｡
｢ごめん、月人に取られちゃったわ｡｣
｢…らだ､今は後で…帰ろう｡｣
｢あ〜うん…｣
空は青く高く澄んでいるのに､飛んでいけそうにもないほど気分は沈んでしまった｡
冷たい風が頬を撫でる｡もうすぐ冬か｡
｢…ふぅ〜､ごめーんぺんちゃん｡ちょっと休憩していい？｣
｢いいけど…｣
らっだぁは地面に座り込み、空を見上げた｡今まで見たことないほど緩んだ顔で、無気力な目だった｡
こんなに光も美味しいのに、こんなにも美しい空なのに､今日はいい日にはならなかった｡
｢腕､取られちゃったから体力落ちたのかな〜…それとも歳のせい？｣
｢なにふざけたこと言ってんの…後で代わりの腕探さなくっちゃね…｣
腕は取られても調子はそのままで､相変わらずおかしなことを言っていた｡調子はいつものと変わらないのに､無気力で違和感があった｡気のせいかもしれないけど、確かに違かった｡
｢ぺんちゃん､聞きたいことあるんだけど､いい？｣
｢なに？｣
｢おれってさ、名前なんだっけ？｣
急におかしなことを言い出す｡らっだぁで､ベキリーブルーガーネットじゃないのか？忘れてしまったのか？
｢は？ボケるのはおじいちゃんになってからにしろよ｡｣
｢いや、ほんとに｡｣
｢お前はベキリーブルーガーネットで、らっだぁだろ？｣
｢…あぁ！そうだった！｣
そう大事なことを思い出したかのように言う｡両腕を無くしただけで、こんな大事なことも無くしてしまうのか｡
俺は大分恐怖を覚えた｡