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｢ぺいんと､あの上って乗れる？」
クロノアさんが矢を弾きながら指を刺してそう言った｡
月人の乗っている雲の事だろう｡
｢はい､助走をつければ…」
｢そう？じゃああの上に乗ろう｡このままじゃ埒があかない」
彼はそう言って飛び乗っていった｡俺も少し遅れて飛び乗る｡
黒点が大きかったので覚悟はしていたが、やっぱり攻撃が激しく防御するので精一杯だった｡
｢っ！やば…！」
｢あと少し…がんばろう…！…あ！」
防御の合間を縫ったのだろうか､クロノアさんの手首に矢が当たってしまい、手が月人側に飛んでいってしまった｡
｢あ、手が！」
｢いや、これはチャンスだよ｡隙ができた､俺があのでかいのを倒すから､ぺいんとは周りのを！」
｢わ､かりました！」
クロノアさんは手に夢中になっている月人達の目を盗み、慎重に静かに回り込んでいった｡
俺は手を持ってかれる前に月人達を次々と斬りつける｡
矢を放ってくるが前よりは数が少なくなっているので簡単に弾き返せた｡弾き返した矢が当たり、また霧散していく｡
少ししてクロノアさんがキラキラと透明な髪を靡かせ、後ろから飛び出てきた｡振り下ろした斧が器を横に真っ二つにした。
｢は、倒せた…？」
｢うん、多分ね｡」
｢よかったぁ〜…あ、手拾ってこなきゃ｡」
｢ありがとう｡」
クロノアさんの手を拾い上げ、帰ろうとした。ただ、少しおかしかった。いつまで経っても霧散しなかったのだ。
まさかと思い後ろを振り返る､そこには真っ二つにされた月人の穴から何か球状のものがついた紐が動いていた。
その一つが俺の足首に巻き付いた｡
｢！なん、だ！？」
｢…！？ぺいんと！」
クロノアさんがすぐに駆けてきて､俺を突き飛ばした｡
彼に残りの紐が巻き付く。
｢クロノアさん！」
｢ぁ、危ない！来たらダメ！」
紐は引っ張られ、カチッという音がした。
その瞬間爆発音が辺りに響き、目の前のクロノアさんはバラバラに割れた｡すぐに雲は丸くなり、何処かへ消えようとしている｡
俺は爆風に飛ばされて、雲からは逃げられた。
全身にヒビが入り割れていくのが伝わる｡そのまま俺は落下していった。
落下していく最中､取り残しだであろう彼の欠片が落ちていった｡俺はどうすることもできなかった。
上を見るともう雲は見えなかった｡
下には先生がいた｡先生に受け止められた。きっと今きたとこだろうか。
｢クロノアさん…アンタークチサイトは…月に攫われました…｡」
先生はただ空を見ていた｡
｢あぁ、わたしのせいだ」
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作者名：匿名 | 作成日時：2022年12月18日 18時
