砕ける (ページ19)

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透明ページ19

暫くしてクロノアさんが来た。
やっぱり傷ひとつない、綺麗な姿だった。
「クロノアさん！おかえりなさい」
「ただいま〜｡もうすぐ陽が落ちそうだから帰ってきたよ」
「そうなんですか？なんか…やっぱり早いですね」
「だから流氷もあんまり割れなくて…困るよね〜」
もうすっかり暗くなった窓の外を見てそう言った。
クロノアさんが奥からクラゲの入ったかごを持ってきてくれた。
「寒さにも強いクラゲだよ｡今日も寝れないなら辛いでしょ？」
｢あ、ありがとうございます｣
｢ふふ､どういたしまして」
軽く微笑んでクロノアさんは俺の座っている長椅子の上にかごを置いてくれた。
久しぶりに光が取れて、さっきよりも大分体が楽になった。
｢はぁ〜…生き返ったぁ…」
｢それは良かった､じゃあ今日はもう寝ようかな…」
ふぁ､とあくびをして、クロノアさんはそう呟いた｡
今まで、といってもまだまだ短いが､傷一つもつけずに涼しい顔をして仕事をしていた彼が、珍しく疲れを見せていた。
｢最近何故か疲れやすくなってるんだ…まぁちょっと張り切りすぎたかな」
｢そうですか…？無理しないでくださいね」
｢ん､ありがと｡じゃあお言葉に甘えて明日はぺいんとにも流氷割り手伝ってもらおうかな」
｢任せてくださいよ〜」
キラキラと透明な髪を輝かせて、彼はそう言った。
もう寝る時間なのか、彼は立ち去ろうとしていた。
｢じゃ、おやすみ。ぺいんと」
｢おやすみなさい…」
クロノアさんに軽く手を振って、意味もなく瞼を閉じた｡