仕事 ページ15
｢ぺいんと？起きてる？｣
｢起きて､ます…｣
｢今から行ける？｣
｢はい…｣
疲れでいつもよりずっと重い体を椅子から起こす｡
体がだるい、とは感じるが､全然眠くなくて、瞼を閉じて無理やり寝ようとしても寝れなかった｡
とにかく､それくらい寝れない体になってしまったのだ｡
｢先生のとこ、行くよ｡一応ぺいんとと仕事していいか聞きに行かなきゃ｡｣
｢え？もう許可出したんじゃないんですか？｣
｢ごめーん､でもきっと許してくれるよ｡｣
｢えぇ…？｣
｢早速行こ、時間無くなっちゃう｡｣
返事をする余裕もなく、クロノアさんに手を引かれ先生のいるところへと連れていかれることになった｡
昨日から空は灰色の厚い雲が覆っていて、雪が降り積もっている｡光は薄くていつもよりも疲れる｡
けど、頑張るしかなかった｡
なんで頑張りたいかわからないけど｡
そうこうしているうちに先生を見つけた｡クロノアさんは急いだ様子で走っていったので、俺もそれについて行くことにした｡
｢おはようございます､先生｣
｢おはよう､アンタークチサイト｡と、もう1人いるようだが｡｣
｢あ、ほら、ぺいんと｡挨拶｡｣
｢お、おはよう…ございます…？｣
｢おはよう､ファイヤーオパール｡何故起きている？｣
そう先生は聞く｡何故か威圧的に感じてしまい、少し身震いがする｡
｢全然眠くなくて…寝ようと思っても寝れないんです｡｣
｢そうか…なら、アンタークチサイトの仕事をわけてもらいなさい。何か、発見もあることだろう。｣
｢いいんですか？よかった〜…ね、ぺいんと｣
｢あ、はい！｣
クロノアさんはこちらの顔を覗くようにして言った。
意外な判断に少し戸惑う。まさか先生が許してくれるなんて。
｢あ、あの…ほんとにいいんですか？｣
｢あぁ。ただ、無理はしないように、アンタークチサイトも。｣
｢分かり、ました！｣
｢はい、先生｣
動揺しながらも返事をする。クロノアさんは顔色ひとつ変えずに答えた。先生なんて怖いと強いの具現化みたいな人なのに､威圧感さえも感じないのだろうか。
｢行くよ､ぺいんと」
｢はい！」
先生に軽い会釈をし、振り向いてその場から先に行ったクロノアさんを追いかけるように走り出した。
見ただけで辛いと分かる仕事だけど､新しいことに挑戦できることに､少し楽しみだった。
ーーーー
続きます
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作者名：匿名 | 作成日時：2022年12月18日 18時
