砕ける (ページ2)

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青色のあの子ページ2

冷たくて、温かくて､面白い､宝石の子｡
どこか暗くて、どこか変なあの子｡
月人を一蹴して、圧倒的な強さで翻弄する子｡
とても頑丈だけど、加減がわからなくて、簡単に壊れてしまうベキリーブルーガーネットの子は､いつも明るくて、冷たかった。
らっだぁって､呼んでたと思う。

｢ぺいんと？どした？｣
｢え？あ、ごめん…ちょっとだけ？眠くって…｣
｢まぁ〜た夜更かししたの？昨日先生に注意されたばっかでしょ〜？｣
｢う…してないし！｣
そう言われ､少し腹が立つ。叩いてやろうと思ったが､こいつを叩くとこっちが割れてしまうのでやめた｡
｢月人、でないなぁ｣
｢先月来すぎて疲れてるんじゃない？まぁ､このまま来ないことを祈るよ｡｣
はぁ、と息を吐いて少しつまんなそうな顔をするらっだぁ。昔から面白いことが好きで､こんなつまんなそうな顔をするのは強さ故の余裕だろう｡
｢おれ、寝るから｡月人が出たら起こして〜｣
｢え！？まっ…寝てるし…｣
止める間も無く寝てしまった｡いつもは返事くらいはするのに…｡二人組だからこそ月人を倒せるのであって､俺一人では…倒せるのか､怪しい…
｢ま、らっだぁだから､月人来たら起きるかなぁ…｣
そう自分に言い聞かせながら､見張りをする｡
その瞬間､背後に影と嫌な気配が背筋を震わした。
｢え？！月人…らっだぁ！？起きてない！？｣
らっだぁは目を閉じて起きる気配もなく寝てしまっている。俺一人という状況に慌てふためいていると､月人から矢が放たれた｡
｢らっだぁ！！｣
すぐさま守ろうと、腕を伸ばす。が、一歩及ばずらっだぁの首と片腕､俺の左腕に一本ずつ矢が刺さってしまい､甲高い嫌な音をあげ､らっだぁは首元は欠け､俺とらっだぁも腕が割れてしまった｡
｢う､っ…先生…呼んだら…らっだぁ､が､月に…｣
倒すしかない､そう思うしかなかった。
｢やぁっ…！｣
次々と飛んでくる矢を剣に引っかけ、月人目掛けて振り上げる｡空気を蹴りながら､月人のいる雲に進む｡
｢…ここ！｣
真ん中の月人に勢いのまま剣を振る｡すると月人は真っ二つに割れ、跡形もなく消えた｡
｢あ…倒し､ぁ｣
疲れと安心感に身を任せ、ゆっくりと地上に落下する。
重い体を持ち上げ、起き上がる｡
｢は…らだ…ぁ…｣
呼びかけるも、声は出さない､目も開けない｡俺はらっだぁの体と破片､腕を抱えながら草原を後にした｡