転生スパイ少女はヒーローになる【スパイ教室×ヒロアカ】 (ページ13)

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　Aと轟の戦闘訓練後、オールマイトによる講評が行われようとしていたが…

　「はい、先生」

　またもや百に立場を奪われようとしていた。

　「今回、一ノ瀬さんの素晴らしかった点は、何重にも罠を張りそれを効果的に発動させていたことですわ。戦闘という面では轟さんが上回っているのかもしれませんが、それを理解した上で、罠で対抗した。戦況や実力差を正確に把握した上で、自分の有利な状況に持ち込む。とても素晴らしいですわ。そして、毒が効くまでの時間稼ぎのための話術…。隙がありません。ヒーローが採る戦法とはかけはなれていますが…。毒煙幕やワイヤートラップなど、プロヒーローの中でも習得している者はほとんどいないでしょうし、それをヒーロー志望が習得しているというのはかなり稀ですわ。おそらく、他にも罠は仕掛けていたのでしょう？」

　そう一気に言いきった百は、Aに目線を向けた。

　Aは頷く。

　『もう3個ほど罠を仕掛けていました。どれも序の口のようなものですけど。騙しの要素は含まれていないし…。それに2個は戻ってくる時に解除済みです。3個目は…。轟くん、腰』

　「腰？」

　轟は腰を探った。出てきたのは、ペン。

　「ペン？」

　『…に擬態した爆弾』

　「「「「爆弾！？」」」」

　A組の生徒達は一斉に叫んだ。

　爆破は、灯や鳳での訓練や任務ではよく使用されていた常套手段だ。手違いでリリィの部屋が爆破されたこともあった。

　「い、いつ仕込んだ…？」

　『転んだとき』

　「あぁ、あの時…。じゃあ、あれはわざとか？」

　『当然。なんでもないところで転ぶわけありません。少女漫画じゃないし』

　そんな会話を聞きながら、オールマイトは戦慄していた。

　(個性ではなく技術として毒煙幕やワイヤートラップを使う生徒など前代未聞…。個性で戦うのが基本のはずのヒーローが、このような手段で戦うとは。そして、その罠を仕掛ける技術の高さ。初めての戦闘訓練ではないみたいだ…)

　オールマイトの予想は当たっていた。

　今回、Aはスパイ技術を多用している。

　Aは灯や鳳で訓練に励み、数々の任務に取り組んできた。その中には、仲間を失ったフェンド連邦謀略戦のような、苛酷な任務も少なくなかった。その中で、技術やスパイとしての成長など多くのことを掴んだ。その記憶は忘れていない。経験という面ではA組の他生徒を大きく上回っている。

　(彼女はすごいヒーローになる…！)