転生スパイ少女はヒーローになる【スパイ教室×ヒロアカ】 (ページ12)

今日:37 hit、昨日:26 hit、合計:2,373 hit

・ページ12

『人殺しって反省すると思います？』

　突如そう問いかけてきたAに、轟は困惑した。

　突然、何を言い始めるのか。しかし、なぜか無視できない。

　「…人によるだろ。反省する人はするし、しない人はしない」

　『…それも一理あるか。けれど、私はこう思うんだ。人殺しは反省しない。後悔もしない。反省できる人間は殺しをしない』

　「…」

　『だってそうでしょう。人が人を殺すことに理由なんていらない。殺したいから殺す。動機なんて後付け。殺された側の遺族からしたら、動機なんてどうでもいいですから』

　轟は、目の前の同級生を理解できなかった。
　
　『昔読んだ本に、どんな時でも殺されたくないならあなたは少なくとも人殺しをしてはならない、と書いてあったのを見たのだけれど…。あなたは、殺されてもいいとする条件があります？』

　「…ないな」

　『じゃあ、他人の自分の命、どっちを優先をする？』

　「…他人だろうな。ヒーロー志望だからな」

　『…そう。まぁ、私も同じようなものだけれど。でも、父親は別でしょう？』

　「…！！」

　『あなたは父親によって、虐待された。否、疎外された。他の家族とは違いすぎたから。天才すぎたから。異端すぎたから。天才は異端から生まれるということですね。異端が全て異端とは限らないけれど。必要条件であっても、十分条件ではありません』

　「何が言いたい…」
　
　轟は静かに怒気を放っていた。なぜそんなことを言われたくてはならないのか。そもそも、なぜ家族のことを知っているのか。

　『別に何か言いたかったわけではないけれど。ただの時間稼ぎ。…お、そろそろ』

　「…は？」

　『ところで、このお遊びにはいつまで付き合えば良いんです？』
　
　その時、轟の視界が揺らいだ。

　(な、なんだっ…！？)

　地面に膝につき荒い呼吸を繰り返す。体もしびれてくる。

　先ほどAが放った煙幕は、毒煙幕だった。

　リリィから、簡易的に作れる毒煙幕の作り方を伝授してもらったことがある。普段彼女が使用しているものほどの効果はないが。

　しかし、今回はこれで十分だった。

　『もう少し疑うべきでしたね…』

　Aはあらかじめ解毒剤を飲んでいて無事だ。

　轟は負けじと立ち上がるが、次の罠が轟を襲う。

　煙幕で轟の視界が悪くなっている時に仕込んだ、ワイヤートラップ。

　ワイヤーによって、轟の動きが塞がれた。
　
　「ヒーロー側WIN！！」