今でも (ページ10)

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楽屋につき、扉を開ける。

「あれ、小山さんは?」

自分と一緒に撮影をしていた小山がいないのに気づいて、シゲが問いかける。説明すると、納得したように頷いた。

「次、シゲと手越だよ。」

そういうと、手越は珍しく雑誌を読んでいたのかそっと机に置いて立ち上がる。

最近、手越に違和感を覚えるようになった。

シゲや小山と話しているときは普通なのに、俺と話すと妙にソワソワして目も合わない。今だって、俺の方を見ないようにしているのか、全然こっちを見てくれない。

俺の横を通り過ぎようとしたとき、ふと、手越の前髪が目に入った。

気づけば手越を呼び止めていて、いきなり話しかけた俺にビックリしたのか、手越は焦ったように肩を揺らした。

そんな手越にお構い無しに気になった前髪を少しいじる。

さっきよりもずっと手越に似合っていて、可愛くなった。

「うん、こっちの方が可愛い。」

思わず口に出てしまった。

手越がまたビックリしたようにじっと俺を見つめてくるから頑張ってっていう意味を込めて、微笑んだ。