今でも (ページ5)

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ガチャン、という音とともにドアが開いて、撮影を終えた慶ちゃんとまっすーが帰ってきたのがわかった。

「あれ、小山は?」

シゲの言葉に少しだけ目線を上げると、そこにはまっすーしかいなかった。

「あぁ、時間ないみたいで、もう現場行った。」

最近忙しい慶ちゃんは荷物を持って撮影現場に行っていたし、楽屋を出る前に俺たちにも言っていた。

「次、シゲと手越だよ。」

まっすーの言葉に、さほど読んでいない雑誌を閉じて机においた。

「手越、」

こっちに歩いてくるまっすーと目を合わせないようにして通りすぎようとしたのに、突然まっすーに呼び止められた。

「な、に、」

急なことで声が上擦る。あっ、と思った時にはまっすーの手が俺の前髪をいじっていた。

少しの間そうして、気が済んだのか手を止めて、じっと見つめる。

「うん、こっちの方が可愛い。」

何を言われたのか理解できなくて、顔を上げると、にっこりと笑うまっすーと目が合う。

「頑張ってね。」

それだけ言うと、俺に背を向けて歩き出す。

「手越ー、行くぞー」

返事も出来ずに固まっていると、背後からシゲの声が聞こえる。

「っ、あ、シゲ待って!!」

慌てて歩き出すと、シゲは一瞬不思議そうにしたけど、すぐに何事もなかったようにいつもの笑顔に戻った。扉が閉まる寸前、携帯を操作しているまっすーが見えた。