※ カツ丼は腹八分目まで！【 YOI 】 (ページ4)

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スケートリンクはせつに着く。
走ってきたからか、それとも緊張しているからか、心臓はとても早く動いていた。

静かにドアを開ける。深呼吸深呼吸。

スケートリンクの中からは、勝生君の憧れ。
ヴィクトル・ニキフォロフのフリープログラム。「離れずにそばにいて」が流れていた。

勝生君と優子ちゃんしか居ないリンク。
そこに入り込むのは気が引けて、入り口の横に寄りかかって、勝生君の「離れずにそばにいて」を見ていた。

優子ちゃんは勝生君を。
勝生君は優子ちゃんを。
その二人のための空間に、最後まで居続けるなんてこと、出来るはずもなかった。

まるで、お前の入り込む隙間なんてない、と再確認されているよう。
告白なんてできやしない。
落ち込んだり、自信がついたり。また落ち込んだり。

ほんと、忙しいやつだ。
ミナコ先生に慰めてもらわないとなぁ。

そっと、リンクから抜け出す。
あの空間にいるだけで心が張り裂けそうだった。
目からはぽたり、ぽたり、と涙がこぼれ出す。
帰り道は、ずっと声を押し殺して泣いていた。

スマートフォンで自分の顔を確認する。目元と鼻が真っ赤で、ゆーとぴあかつきには戻れそうになかった。

もう今日はお休みします。とメールをいれると、
たまにはお休みしなーという優しい返事が帰ってくる。

……ミナコ先生に、バレエ教室開けてもらおう。