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積もる話もあるだろうと、他のお客さんの接客をしていたら、いつの間にか勝生君がいなくなっていた。
「あれ? 勝生君は?」
「勇利さ練習しに行ったわ。多分スケートリンクはせつだろうねぇ」
勝生君のお母さんが教えてくれた。
スケートリンクはせつ、かぁ。
きっと優子ちゃんに会いに行ったんだろうなぁ。
もうすぐで勝生君の好きなヴィクトルが出るのに。
「……行っちゃえばぁ? A」
お酒で出来上がっているミナコ先生が静かにそう言った。
「い、いやだって、優子ちゃんに会いに行ったんだろうし……」
「Aは、それでいいの?」
「いいって訳じゃない、けど、勝生君が選んだことだし、私が入り込んだら鬱陶しいし、ウザいんじゃないかなって」
「馬鹿ねぇ! 優子はもう結婚してんのよ?
チャンスあるわよー? ……ま、もし振られても私が、慰めてあげるわ」
「勇利だけが、アンタの人生じゃないんだから」
「……ありがとう、ございます。……すいません! ちょっと抜けます!」
乱暴にドアを開けて、スケートリンクはせつまで一気に走り出す。
そう、そう、まだチャンスはあるかもしれない。もし、振られても勝生君だけが私の人生じゃないし!
……なんてこと言っておけば振られた時傷つかないかな。
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