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今、ミナコ先生が駅まで勝生君を迎えに行ってるらしい。
もう少し、もう少しだ。
恋心は封印した。とか格好良いこと思ってたけど、全然封印できてない！
と、赤らんだ熱い頬を皿洗いをしていた冷たい手で包み冷やす。
まるで恋に恋した女子高生みたいだな、私。
すると、ガラっと扉を開けた音。
勝生君か！ とバッと振り向くと、そこには綺麗なアチチュードをしたミナコ先生と少し(？)太った勝生君がいた。
「たっだいま〜！ 勇利お届けに上がりました〜！」
「ミナコ先輩ありがと〜」
家族水入らずの所へ邪魔するのもなんだから、こっそりこっそり、違う場所に行こうと思ったらミナコ先生が「あ、Aどこいくのよ〜？」と声を上げた。
注目が全てコチラに集まる。
勝生君が不思議そうにコチラを見て、一瞬硬直した後、「ああー！ Aちゃん！」と叫ぶ。
「そっかー、勇利は知らなかったっけ。A、大学卒業してからココでアルバイトしてんのよ？」
「へぇー、そうなんだぁ。……って事は、もう新体操はやってなか？」
「新体操は、ちょっと、もう辞めよっかなぁって思ってて。」
「そうなんだね。僕もスケート続けようかハーフハーフで。」
と、はにかむ勝生君。
そう、実は私、三歳から新体操をやっていたのである。(お母さんに駄々をこねてスケートをやらしてくれって言ってた時もあったけど。)
全国大会で優勝経験もあるし、将来はきっと、新体操選手になっているのだろう。って思ってたけど、現実はそうもいかない。
セレクションに落ち、コーチとして生きるも、マイナーなスポーツのため、あまり人は集まらない。(因みに落ちた理由は身長が足りないから)
そこで、勝生君のお母さんから声がかかり、少しの間でもいいから、とアルバイトをしていたのであった。
「そっかぁ、Aちゃんはもう新体操辞めちゃったんだねぇ。少し勿体ない気もするけど」
「それより勇利…… アンタどんな太り方してんのよ！ スケーターとしてあるまじき太り方！ 」
「わ、わぁ、ミナコ先生やめてえぇ！」
「母さんにそっくりやなぁ」
笑い声が、ゆーとぴあかつきに響いた。
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