※ カツ丼は腹八分目まで！【 YOI 】 (ページ1)

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彼が日本を去って５年。初出場のグランプリファイナルでボロ負けした彼は、明日、故郷九州・長谷津に帰って来るようだった。

──私は宇佐見A。温泉施設の「ゆーとぴあかつき」にてアルバイトしている。
ゆーとぴあかつきの方々は優しくて、充実した毎日を送ってきた。

実はゆーとぴあかつきで働いているのは私の片想い相手。勝生勇利君の実家だからという下心が含まれている。(多分勝生君以外にはバレてる)

ミナコ先生にはこの機会に告白してしまえと唆されているけど、告白する気はない。
勝生君への恋心は封印した。

なぜなら、勝生君の好きな人が私ではないからだ。
西郡優子ちゃん。西郡豪さんの奥さんで、三つ子のお子さんがいる。彼女はスケートリンクはせつのスタッフで、とっても可愛くて、とっても優しくて。
勝生君が優子ちゃんを見る瞳は、とってもキラキラしてて。

私なんか、足元にも及ばない。
それなのに、そんなことずっと昔から分かっていたのに。
勝生君の実家で働いたり、ほんと、うざったいなぁ。

「Aちゃーん、カツ丼持ってって～！」

そうでしたそうでした。
今は仕事中。仕事に集中しなくては！
ゆーとぴあかつき名物。カツ丼をお客様に運ぶ。
最初はどんぶりが意外と重くて、「危なっかしい！」と皆に言われてたけど、最近は楽々だ。

……勝生君、このカツ丼好きなんだよね。

おっと邪念が。(好きな人の事を邪念だなんて失礼かな。)
どれだけ集中しようとしても脳内には勝生君勝生君勝生君……
勝生君がゲシュタルト崩壊しそう。