完膚無きまでの1位。［爆豪勝己］ (ページ5)

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『爆豪、さん？』

「東久邇、親居るか？」

『……ちょっと来て。

中村さん、彼と自室でお話しますので

お茶、お願い出来る？』

「かしこまりました」

東久邇に誘導されて階段を上ったり、

廊下を左右に曲がってこれでもか、という程

奥まで来た。きっと身内の部屋は分かり悪い場所のが

もしものときも安全なんだろうな。

……中学くれぇ、広い。敷地はな。それ以上かも知れねぇ。

造りは全く以て違うが。

『どうぞ』

ふわっとひろがるフルーツの香り。

天蓋付きのベッドなんて初めてみた。

女子の部屋、初めて入った。

『座って』

「、ああ」

『私の両親にこの傷のことを言わない方がいい。

知ってるでしょう、東久邇がどんな家系か』

「じーちゃん、内閣だっただろ？

あと、父さんが議員で母さんが大臣だろ」

『うん。

あなた、これがバレたらきっとこの世界で住めなくなる。

家族も、親戚も……。住めても、誰も居ない場所。

私の個性でしたことにしとくよ。

これは私たちだけの秘密』

また、指で弧を描いた。

運命を変えたみたいだ。

あっ、コイツに負けたんだ、

そう思わざるを得ない光景だ。

「……お前、」

『爆豪さんはどうしてヒーローになりたいの？』

「それは……」

『答えなくていい。

少なくとも私はあなたたちと同じ土俵にたてない人間だよ』

「は？」

『なんでもない。これも秘密ね？』

そっとほくそ笑んだ。

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