小 児 科 病 棟 の 女 の 子 。

雨 [43] ページ44

*千尋side*


とんとんとん、とノックが聞こえて、誰かな？とドアのほうを見ると。

今日は小さな患者さんのお目見えです。

　

真「こんにちはぁ…」


「こんにちは。よく来たね(^^)」

　

ノックの正体は真愛ちゃん。

　

遊びに来てくれたみたいだけど、

緊張してかどうしたらいいかわからないのか

その場に立ち尽くしている。

　

「もっと入ってきていいんだよ、おいで？」

　

そう言ってはみるけど、あんまり言葉が頭に入っていない感じ。

　


少しずつ驚かせないように近寄ってみる。


小さな心臓がどきどきしているのが近くにいるとすごくよく聞こえてくる。

　

「緊張してるかな〜そんなにどきどきさせなくてもいいんだよ。

じゃあそこのソファに座ろっか」

　

そういって、手をつないでみたけど、抵抗はなく、

むしろぎゅっと強く握られた。

　

・

　

「なにしよっか？」

　

そう聞くと、一応悩んではいる様子。



「そうだ！真愛ちゃんはてるてる坊主作ったことある？」


真「ううん、ない…」


「じゃ、いっしょにつくってみない？」


真「うん」

　

早速白い布とマジックペンとひもをもってきて、作り始めてみた。

見ていると、工作は好きなのか、結構器用に楽しそうに作っている。



真「…水野さんも、作ろ？」


「うん、作るよ(^^)」

　

ちょっと観察してたらきょとんとした顔で聞かれた。


まだちょっと不安そうだけど、先週に比べたら全然進歩している。



「真愛ちゃんのてるてる坊主、かわいいね」


真「……見ててにこにこするようなてるてる坊主作るの」

　

気が付くと、怖がらずにすぐ質問には答えてくれるようになった。


時々、質問や疑問など聞きたいことがあっても

ほとんどのことは聞いて頼ってくれる。

　

少しずつでも信頼してもらえればいいなぁと

思っていたのでこれはうれしい限り。

　

・

　

真「これで、雨やむかな？」


「やむといいね〜。毎日雨だもんね」


真「うん。…これで、お母さん来てくれるかなあ……」

　


小さな声で、ようやくつぶやいた本心。


この子は母親を求めている―――

　

愛してくれる人を求めている

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