赤般若【鬼滅の刃】

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胡蝶しのぶside



『胡蝶さんは居ますか！！』


大声で名前が呼ばれる

怪我人かと思い手袋を着け、用意をする


ドアが開き入ってきたのは怪我人の男の子と...



しのぶ「(般若...)」


とりあえず今は怪我人が大事

血鬼術による毒も回っているので急いで治癒しなくてはいけない



しのぶ「貴方は外でお待ち下さい」


『お願いします、どうか助けてあげてください...ｯ!』


面越しでも伝わってくる感情


しのぶ「...勿論です」


この子は瀕死状態だ

助かる確率は3割にも満たない


助かるのは確定ではないのに言ってしまった



いや、違う


その気迫に



言わせられたんだ




*



しのぶ「...終わりましたよ」


『調子は？』


しのぶ「脈拍も無事安定していますし、大丈夫だと思います」



『っはぁ〜...よかった...』


まるで今までの不安を吐き出す様に息を吐く般若


般若、般若だが今は般若では無い


面を取っていた


白く、綺麗な肌


睫毛が長く、瞳はキラキラ輝いている


『本当にありがとうございます。』


深々とお辞儀をされる



髪…物凄く綺麗だ


しのぶ「...」


『...胡蝶さん？』


しのぶ「あ、いえ、私の専門ですので。」



『私一人じゃ助けられなかった。本当に感謝しています

あの、様子を見ても...？』


しのぶ「ええ、大丈夫ですよ。」


ドアを開け、部屋に通す


『〜ｯ生きてる、良かった...』


ギュッっと男の子の手を握り、掛け布団に顔を埋める


第一印象は最悪でしたが、いい人なんですね...


少年「...ぉ...ねぇちゃ...」


しのぶ「目覚めましたか？」


『大丈夫？寝たままでいいから...！』


少年「ありがとう...」


『ｯ...よかった...目は見える？』


少年「うん、お姉ちゃんのお蔭だよ…」


『私は運んだだけ

君の“生きたい“という強い感情が生命を繋いだの。

そしてお礼はこの人に、君を苦しみから解放してくれた凄い人なんだよ』


しのぶ「わ、私は何も...！」


少年「お姉ちゃんも、ありがとう...」


しのぶ「！！...いえ、どういたしまして」


『まだきついでしょ、よくお眠り

胡蝶さん、ありがとうございました。私はお暇します』


しのぶ「そうですか。では、さようなら。」



ペコリと会釈をしてAさんは去っていった

男の子のベッドにはAさんの涙が染みとなって布団を濡らしていた

そこから感じた、感情の温かみ



しのぶ「...とっても優しい人だったんですね」

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