推しは守り助けるもの 漆【鬼滅の刃】

肆佰拾参の型 ページ13

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善逸side





視界がぼやけて、涙が溢れて、鼻からは滝のように鼻水が出てる







嫌だ





Aさん…




死なないで下さい




そんな願いは虚しく、叶うことは無い






なんでよりによってAさんが死ぬんだよ


彼女はだれよりも人を救い、素晴らしい生き様だったはずだ


もしかしたらまた灰が集まって生き返るかもれない




そう思った




そう願った





だけど灰は




音もなく静かに消えた。








俺、好きだった、物凄く、貴方のこと。




いや今も好きだ。






初めて会った時はただ、綺麗な人だなあって思った



今まで関わってきた女の子達は皆、俺の事を男としてでは無く、金として見ていた




だけど貴方は、Aさんは違った。




Aさんが俺を男として見ていたかは謎だけど…多分見てないけど…！！



初対面で鍛錬してくれて、普通の事かもしれないけど、普通の人として接してくれた


それが俺には物凄く嬉しかったんだ



泣きそうなくらい、嬉しかった









その後しばらくして、鬼殺隊に入った


何度か任務を見学させてもらう事があったんだけど、柱のAさんを見て鳥肌が立った



太刀使いも踏み込みも全部完璧だった



なんて言うんだろう、圧？殺気？みたいなのが凄くて、俺に向けられてないのに呼吸が苦しくなって背筋が凍った




刀に手をかけただけで出るその殺気を感じて、鬼殺隊最強の名を持つ理由がわかった気がした



こんな凄い人の稽古を個別で受けたとなると、誇らしくて堪らなかったなぁ




何より記憶に残っているのは二人で逢瀬をしたこと…！




あの時俺は"ああ、この人しかいない"って思ったよ




それに、獪岳も…




あいつは今でも尖ってるけど、結構丸くなった方だと思う




Aさんが居なかったら、獪岳はどうなっていただろうか




獪岳だけじゃない

他の人たちも…




今の決戦だって死者がたくさん出たかもしれない



けど全てを解決させたのはAさんだ







それだけ凄い人を、俺たちは失った






世の中は不条理で、理不尽だ





神様、Aさんを返してくれよ、頼むよ

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