推しは守り助けるもの 伍【鬼滅の刃】

弐佰弐拾陸の型 ページ26

．









炭「っ！何か理由があるんですよね！？

何か…物凄く大事な！！

えっと、脅されてるとか！！きっとそうだ！」




『違うよ、脅されてない。


私は彼を殺そうと思ってない。』




炭「い、今なんて…？」




『私は鬼舞辻無惨を恨んでいないし、殺そうとも思ってない。』




炭「そ、そんな…！

Aさんは俺たちの味方じゃないんですか！？」




『……敵じゃないよ。

勿論鬼よりも人を優先して動く。』




なんで味方と言わないんだ…？




炭「なのに鬼舞辻無惨の…理解が追いつかない…！！！！」

どういうことだ？




Aさんは鬼舞辻無惨に殺意はなくて…




でも鬼は狩る……？




言いたいことが一つに纏まらず、口だけがパクパク動く。




『鬼舞辻無惨は確かに悪い人だよ。



でもね、これは言い訳に過ぎないんだけど…









あの人も人間だったから。


それに炭治郎くんならわかると思う。


彼は寂しい人間なの。』




炭「……。」




『きっと人間だった頃の恨みや悲しみ、寂しさがあるんだと思う。

鬼舞辻を許せとは言わないよ。



ただ、彼も人間だったということを忘れないで欲しい。』





炭「……っ…(…駄目だ。)」






駄目だ、


俺も今まで優しい人とたくさん出会ってきたけど、この人は違う。





Aさんは優しすぎる。





鬼舞辻無惨にさえも同情している。



きっと葛藤しているのだろう、鬼舞辻を殺すか、否か。




『心配掛けちゃうけど、私は鬼舞辻を殺さないとは断言出来ない。

絶対いつかは私が…だからそれまで、待ってて欲しい。


なるべく彼には殺しをやめさせるから…。』




様々な感情の匂いが混乱している。



Aさんは色々な人の悩みを聞いたり、助言したりしているだろうけど、Aさん自身の悩みや不安は誰にも相談していないんだろうな……。





この人だけに頼るのは良くない。





これ以上負担を掛けちゃあ駄目だ。






Aさんが鬼舞辻を殺せないなら俺が、俺たちが倒せばいいんだ。





炭「…十分です。」

弐佰弐拾漆の型→←弐佰弐拾伍の型

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す