すき。 ページ6
今日は日直。
いつもと変わらない日常に、ひとつ付け加えられるといえば、日直だということと、
「ああああやっちまった〜……」
お昼休み。
友達のまのとお弁当を食べながら話す。
もうひとつ、昨日の国見のことだ。
「それってAが国見くんって子をすきになったってこと？」
「いやいやいやいやそれはないでしょ」
じゃあどっちなのよーという目をしながら私を見るまの。
因みにまのは野球部のマネージャーで、こんがりとやけた肌は彼女の華やかな顔とよくあっている。
まののかおは好きだけど、
1番はやっぱり国見だ。
「うーん、私のはなんていうか、ファンみたいなかんじ」
「えっ……なに、あなたの顔が好きですだから私はあなたのファンですって？」
「やっぱりちょっとひどいかなあ」
私も自分がひどいことしてるっていう自覚はあった。
「ひどいよ、だって自分のこと好きな人の顔だけでってー」
だよなあ
そう思って机に突っ伏す。
「私は笹田にそんなこと思われてたらうれしいけど、ちょっと複雑になるなあ。
もし付き合ってくれても、顔だけなのかーって」
「まのは笹田が大好きだねえ」
笹田というのは野球部のまのが好きな人。
ぼうずで、おもしろくてやさしくていい人だ。
まのの顔が少しあかくなる。
かわいい。
「あっ」
「うわっ」
国見が言ったかわいいって、こういうことか。
まだ驚いているまのを横目に、私は考える。
国見が私のことかわいいって言ったのは、何も私のことが好きだからかわいいって言ったんじゃなくて、思ったことを口に出しただけなんだ。
いや、まあ自分が可愛いというわけじゃないけど、
「A、どした？｣
「なんでもないよ」
あ、でも国見は私のことを好きって言ってくれた。
よくわかんないな。
「まーAは国見くんに優しく、そんでかおが好きってバレないようにしなよ？」
「ほーい」
ちょうどなるお昼休みが終わるチャイムの音と一緒に、まのは席を立って自分の席に歩いていった。
5限ーー、教材をだすために日課表をみたら、そこには恐ろしい文字が書かれていた。
数学。
その時ほど絶叫した時はない。
…
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作者名：やふ | 作成日時：2018年5月27日 23時
