すき。 ページ2
「……え、それって付き合って貰えるってことですか」
「あああああああごめん！！
そーゆー意味じゃなくて！！！」
すごい速さで違うというと、後輩くんの顔は少しムッとなった。
ああ、やっぱりこの人の顔すきだ、なんて不謹慎にもおもう。
「じゃあ好きってどういうことですか」
さすがに告白してきてくれた人に「あなたの顔が好きなんだ」なんてひどいよな……だとか色々考えて、でも『すき』の説明ができなくて頭が混乱する。
「後輩としてってこと！
国見もそういう意味じゃ、」
あ
傷つけた。
何言ってるんだろう、わたし。
「……ごめん、」
「どういう意味のごめん、ですか」
不安気な声で、こちらを見る。
私は君の顔は好きだけど、そんな顔はみたくないよ。
まあ私のせいなんだけども。
「国見のこと傷つけた｣
もうしわけない、と思った。
あれ。
わたし、国見に告白された？
「確かにそうですね、傷つきましたよ」
傷ついたなんてひとつも感じさせないふわりとした微笑を私に見せて、それからにっと笑った。
すごくきれいで、思わず見惚れる。
「だからその分、先輩おれのものになって」
「……え」
私はかおはすきだ。
でも、国見自体は好きではない。
最低だと、自分で理解してる。
「わたし、国見のことそういう風にはみたことない、だから、ごめん」
…………
すこしの沈黙のあと、その後輩はふふっと笑った。
「先輩が俺のこと恋愛対象として見てないってこと知ってました」
うん、ごめんな。
「だけど、諦められません」
うん、……うん？
「絶対、振り向かします」
驚いて顔をばっと見上げる。
ーーーそこには、私の見たことのない、後輩ひとりの少しこわい、でも私の大好きなかおがあった。
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作者名：やふ | 作成日時：2018年5月27日 23時
