37 ページ37
そして、夜。
また昨日と同じように、けれども今度はめいを連れて、自動販売機へと向かっている。
侑くん来てくれないかな、なんていう希望を抱いて。
自動販売機に着くと、めいは迷わずミルクティーを買った。
「好きだよね、それ」
「美味しいもん。Aはどーすんの？」
「んー…………どうしようかな」
昨日飲んだフルーツティーも、もちろん美味しかった。
それをもう一度飲みたい気もするし、でも炭酸ですっきりしたいような気もする。
結局、またフルーツティーを飲むことにしたわたしは、サッと購入する。
(侑くん、来なかったな)
分かりきってたことだけど、少し残念な気持ちになる。
帰ろうとすると、めいがぱっと手首を掴んで引き止めた。
「もうちょっと涼んでこーよ。そこのコンクリ座ってさ」
「おっけ、いいよ」
コンクリートブロックに腰掛けて、めいと2人で星を見上げる。
自動販売機からの明かりと、月明かり以外に光はない。
暗いね、とか、星が綺麗に見えるね、なんて話していると、いきなりめいはわたしの方を見て言った。
「結構強くつけたよね、侑くんも」
「……え？」
ここ、とめいは首筋を指す。
「わたしでも付けて貰ったことないよ」
キスマのことだ、と気づいてからは顔が熱くて、きっと今、わたしの顔は真っ赤になってしまっている。
そして、顔を背けようと振り返った先には侑くんがいた。
「なあ、A借りてええ？
治も連れてきたし、先に部屋戻っててもええから」
待っていた人ではあるけれど、ちょっとタイミングが悪すぎるのでは？
顔が真っ赤になっているわたしを見て、侑くんは困ったように笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ビール瓶 | 作成日時：2021年8月10日 19時
