魔法は夜に【カリム】 ページ29
『なぁ、俺と一緒に魔法の絨毯に乗ってみないか？』
差し伸べてくれた小麦色の大きな手
数々の辛いことも家の事も全て抱えた、頼もしい手
触れた感触やくれた笑顔、頭を撫でてくれた、抱きしめてくれた温かさ
全てが少し前の事のように覚えている
「もう2年も経ったのになぁ……」
そう、あれから2年も経ったのに彼は未だに私の中で根強く生きている
無事本当の世界に帰ってきた私は大学生になり独り立ちをしてマンションに暮らしをしている
空に夜の息がかかった午後8時の事だった
『そうか、帰っちまうのか……あっちの世界でも元気にやっていくんだぞ！ああほら、泣かないでくれ！』
帰るための鏡に入る時
最後の悲しみを孕んだ笑顔
普段のカリム先輩は絶対にあんな笑顔はしないのに、私が傷つけたから
本当は私も＿＿＿＿＿
『愛してるぜ、A！』
「私も……好きだったのになぁ……」
カリム先輩、カリム先輩
元の世界を捨ててでも一緒にいたかった人
でも帰らなくちゃいけなかった。元の世界では私を心配してくれる人がいるって言うから
でももう、後悔しても遅いのだ
「会いたいなぁ……」
「ん？誰にだ？」
「カリム先輩って言ってね…………」
後ろに尻もちを着いた
鼻腔を懐かしい思い出がくすぐる
甘くて、でも優しい太陽のような香り
天真爛漫でよく通る安心する声
私の横にはキッチンに手をついたカリム先輩が立っていた
「……は？……ぇ、え……？」
「久しぶりだなA！元気にしてたか？」
よく理解できない
床に座り込んだ私にカリム先輩が手を差し伸べてくれた
2年前とは随分背が伸びて、大人っぽくなっているのに性格や雰囲気などは全然変わっていない
カリム先輩の手を取ると、懐かしい体温に涙が溢れた
「やっぱり俺、おまえが居ないと駄目なんだよ。だからお前を……娶りに来たぜ」
「めと……る？」
「無理強いはしない。どうだ？俺の妻になってくれるか？」
は、はい！と勢いに乗って口が滑った
本心だがあまりにも軽活に行ってしまったので自分で驚く
当のカリム先輩は花が咲いたようにぱぁぁ、と笑顔になった
「よし！それなら今から帰るぞ！」
懐かしのマジカルペンを取り出し私を抱きしめる
彼の温もりの中、赤褐色の魔法石が淡い光を放ち出した
「怖がらなくていいぞ、直ぐに終わるからな」
ちゅ、と額にキスが落とされる
足元に浮遊感が生まれ、そのまま意識が途切れた
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ローズの薔薇 - リドルクン｡私アリスなの？アリスだったら良いのになぁ(幼い頃の自分の夢だったらしい)もし私をアリスにしてくれるかな？リドルクン。(ハートの女王) (2022年4月24日 15時) (
レス) @page34 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
太宰、乱歩などの頭脳派推し - けーくんエッッッッロッ！色気ハンパないです。最推し何です。けーくんのRお願いします。 (2022年3月5日 19時) (レス) @page48 id: 6e38a4139d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖 - え……？？絵がうますぎません？？？？物語も神ですし……有難うございますぅぅぅぅぅ (2021年9月11日 14時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - ちょくちょくはさんでくるヤンデレ系がまた…最高ですね (2021年8月5日 19時) (レス) id: e0681dd9d0 (このIDを非表示/違反報告)
riona - 物語も良き…絵も良き……ここは天国ですか？？ (2021年8月1日 17時) (レス) id: 235e0c7d90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーダ | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月6日 2時
