じゅうに ページ14
からり
この1ヶ月特に開くこともなかった図書室の扉が開く音がする
驚いて、眠りの世界に落ちそうだったのが引き戻されてしまった
「い、いらたっしゃいませ!!」
もやがかかっている視界を擦り、服が2キロほど重くなったのではないかと思う重い体を椅子から剥ぎ、立ち上がる
扉へ視線を向けると
「…………何、寝てたの?」
あんたみたいなしっかりした感じの人もうたた寝とかするんだ。と
なんと勇次郎さんがいらっしゃいました
これもまだ夢の延長なのではないかも疑い、瞬きを増やしてみる
残念だが目に映るものは変わらなかった
「……ど、どうされたのですか勇次郎さん」
まずこれでしょう。あんなに仕事が忙しく、学校を早退することだってあった程なのに図書室など寄る時間がどこにあるのか
疑問というスパイスをたっぷりかけて勇次郎さんにおくるも返されたのは僅かな怒りと不機嫌だった
「図書委員が図書室に来て何が悪いわけ?」
……
!?
もしかして、もしかすると、いやそんなまさか
「図書委員の仕事を全うしにいらしたのですか!?!?」
「なんでそんな驚くの。文句ある?」
「文句だなんてとんでもない!ただあの仕事人間の勇次郎さんが図書委員などと小さい仕事をもこなしにいらっしゃったことに感銘を受けているのです!!」
「ちょっと喧嘩売ってんの?」
とんでもない!と体を動かして表現する
そうだ、とんでもない。来てくれただけ嬉しいのだ
なんだか……
「仕事で忙しくて構って貰えない嫁の様……」
「は?」
「あ、すみません」
私、つい思ったこと口に出しちゃうんですよね
と言うと全力で同意された
あらまあ
「勇次郎さん勇次郎さん!此方へ来て下さい!」
「はいはい、なに?」
「今ですね!暇を持て余しておりまして。新書のラベル貼りしてたのですけれど手伝ってくださいな!」
「え、寝てたじゃん」
「……聞こえませんわ」
誤魔化しはきかないようだわ
私とてうとうとくらいします。はしたないけれど人間だもの
勇次郎さんは面倒くさそうに椅子に座ってぺたぺたとラベルを貼ってくれる
ここに来てくれたことが、初めて勇次郎さんが私を気にかけてくれた気がしてすごく胸がくすぐったくなった
単に図書委員の仕事を私だけにさせている罪悪感からだろうか
もう月末で私たちのクラスの当番も終わるというのに
それでも、それでも、私は嬉しかった
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메이 - めっちゃ面白い…続きが見れるまで毎日見ます (2022年12月8日 21時) (レス) @page24 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
コナミ - 更新、死ぬほど楽しみにしてます! (2021年4月18日 4時) (レス) id: 80df884d08 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - まかろんさん» うきゃぁ!嬉しいです!最近お話かけ持ちしすぎて更新が疎かになっていること…まじで申し訳なさすぎて禿げそうです(白目)うおおおお頑張ります!ありがとうございます!! (2020年5月3日 12時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - あ〜神だわ好きです(唐突な告白)更新頑張って下さい!応援してます! (2020年5月3日 4時) (レス) id: 349227220e (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - サクラ?さん» サクラ?さんんんん!!!こんな駄作まで見てくださって本当に本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)コメントもいっぱいくださって励みになっております!!嬉しすぎて笑みが止まりません!本当にありがとうございます!!!更新頑張ります! (2020年1月25日 11時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 19時