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63話 ページ15

そのまま逃げようとする敦くんを国木田さんが力ずくで止めて、太宰さんがそれを諌めていた。

2人に敵わない敦くんはポツリポツリと語り出す。
彼の孤児院はその人喰い虎に壊された事、そのせいで貧乏な施設は立ち行かなくなり追い出された事、虎は彼を追って街まで降りてきた事──それだけ聞くと彼は災難だなと感じる。




「君が人喰い虎に狙われてるなら好都合だよね。虎探しを手伝ってくれないかな?」

「い、嫌ですよ!それってつまり餌じゃないですか!」

「報酬出るよ」




その言葉に敦くんの動きが止まる。
報酬にこころが揺らいでいるのが私でもわかる……顔がヒクヒクしてるよ敦くん……

最終的に敦くんは報酬の値段を聞いて折れた。お金って大事だよね分かる……でも命も大事だよ。




「じゃあ私はそろそろお暇しますね」

「あれ?私はてっきりAちゃんも着いてくるものだと思ってたのだけど」




流石にここからは邪魔になると思って帰ろうとしたら思わぬ伏兵が。
キョトン顔の太宰さん。そういうとこだぞ!!




「いやお仕事ですよね?私が行ったら駄目じゃないですか?」

「大丈夫だよー、言っちゃいけない仕事内容じゃないし」




行きたい気持ちはある。虎敦くんを見たくないと言ったら嘘になる。でもここで話に乗ったら原作に歪みが生じるのでは……?というか私の存在自体が邪魔なんじゃない?という不安がどんどん生まれる。

ちら、と視線を向けるとニコニコしている太宰さん。

──やっぱり私は欲に弱いみたいだ。







連れてこられたのは廃工場みたいな、でっかい倉庫らしき場所。天井の隙間から月明かりが漏れている。
先程からガクガクと震えている敦くんに私は緊張を解すのも兼ねて声をかけた。




「敦くん、お茶漬け美味しかった?」

「は、はい。とても……」

「餓死しなくて良かったね!野宿ってしんどいよねえ。私もちょっと前にそういう事あってさ〜、死ぬかと思ったもん」

「え、Aさんも……?何故?」

「そこはまあ……色々あってね。強いて言うなら帰る場所を失くしたというか」




さして気にしていないように笑う姿を、敦は僕と同じなのかと思った。この人も親がいなくて、それでさ迷っていたんじゃないかと。
それでも笑っていられる彼女は強い、そう思った。

そんな風に捉えられているとは知らず、私は呑気にこの先を考えていた。

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食塩水(プロフ) - 名前さん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!優しいお言葉、身に染みます…これからも不定期更新ではありますが、あんなにお待たせしないように書き進めていきたいと思います! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - まやさん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!これからはあんなにお待たせする事がないように書き進めていきたいと思います…! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - あやめさん» 更新お待たせ致しました…!2ページ"も"と捉えて頂けてありがたいです!自己満足な作品ではありますが少しでも楽しんで頂けるよう、もっと更新出来るように頑張りますね! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
名前 - 更新されてる……ありがとうこざいまああす!これからも作者さんのペースで頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 6e285a92e8 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新ありがとうございます!!これからも更新待ってます!頑張ってください!!!! (2020年6月14日 15時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:食塩水 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月30日 21時

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