いつも通り ページ6
朝日が昇って数分。
「来ねェな……朝なのに……」
「寝坊でもしてんじゃねェか？」
『……』
いくら待っても、姿を現さないクロネコ海賊団にゾロは呑気に口に出したが、自分の隣で耳を澄ませるAとナミに気がついた。
『なあナミ、おれも歳だし気のせいだと思うんだが』
「いいえ、気のせいじゃないみたい。私も聞こえるわ……北の方でオーッて声が……」
「北!?」
北という言葉にぎくりと反応したウソップは、北にも上陸地点があると言って走り出す。それに続くルフィとA。
せっかく用意した油がすべて水の泡になってしまったが、この際どうでもいい。
ルフィの足の速さに圧倒されながらも辿り着いたAとウソップは、進行形で坂を登っている海賊達と対峙する。
刀、ナイフ、銃、武器を片手に持つ屈強な男達だが、彼らの頭に添えられた猫耳はAのツボに刺さったらしく、大事な場面だというのに笑いを禁じ得ない。
「あんた、さっきから何笑ってんのよ」
『いや、何でもねェよ』
合流したナミが催眠術師のことを離している最中もずっと笑っていたAは、いい加減にしろとナミに指摘されてようやく笑いを収める。
「で？ ルフィは？ 1番に走っていってったでしょ!?」
「さァな。おじけづいたか道にでも迷ってんのか……」
『じゃ、道に迷ったんだな。突っ走るからそうなる』
「そうね……って、あんたいつの間に登ったのよ!!」
いつの間にか木の枝に腰を下ろしていたAは、足を震わせる二人を眺めていた。
「ちょっと困るわよ！ アンタがいるから、私戦いに来たのよ、か弱い女の子が死んでもいいの!?」
『いい』
言い切るAは人間の皮を被った鬼のようだ。
痺れを切らして攻めてきた海賊達に、ウソップはまきびしを投げて身を守り、鉛をパチンコで放って応戦する。
しかし、人数という武器には敵わないようで、頭を殴られたウソップは顔を真っ赤な絵の具で染めあげた。
「お前らを通すわけにはいかねェ……!!! おれはいつも通りウソをついただけなんだから!!! 村ではいつも通りの一日が始まるだけなんだから!!!」
痛みに耐えるウソップ。そんな彼を庇おうと攻撃を受けたナミは、背中から崖へと突き当たる。
二人にとどめを刺そうと動く海賊達は、催眠術師ことジャンゴの言葉で自分達が村を襲わないと殺されることを思い出し、急いで坂を駆け上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
滝登りのヒロ子(プロフ) - 猫か犬だと猫派さん» 更新を楽しみにしてくださり、ありがとうございます!!乱暴な性格のおじさんっていいですよね(●︎´▽︎`●︎)。ありがとうございます!! (2022年9月23日 8時) (
レス) id: 84d0737003 (このIDを非表示/違反報告)
滝登りのヒロ子(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます！無理せずに楽しく頑張らせていただきます!! (2022年9月23日 8時) (レス) id: 84d0737003 (このIDを非表示/違反報告)
猫か犬だと猫派 - 続編楽しみにしてました〜。毎日更新されてとても尊敬しています！夢主さんの性格も大好きで、とても更新されるのを楽しみにしています！ (2022年9月19日 15時) (レス) id: b2d9f0611e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 続編おめでとうございます！男主にビビッときてしまいました！無理せず頑張ってください！！ (2022年9月19日 15時) (レス) id: 7ea8debc19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒロ子 | 作成日時：2022年9月13日 19時
